競争的資金等の適正執行の確保に向けた取り組みについて

国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」という。)は、産業技術の研究開発をミッションとして設立された公的機関であることから、研究活動等のために必要な経費は、そのほとんどが公的研究資金により賄われている。このため、産総研における研究者は研究活動等を通じ、その成果を社会に還元するとともに、公的研究資金の使用にあたって、その効果的、効率的かつ適正な使用が求められている。

平成13年の産総研発足後、競争的資金等の適正執行に取り組んできたところであるが、平成19年2月に文部科学省が策定した「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(以下「ガイドライン」という。)に基づき、適正執行のための取り組みを一層推進した。また、平成26年2月及び令和3年2月、文部科学省は研究機関において更なる適正管理がなされるようガイドラインを改正した。

産総研は、経済産業省及び文部科学省等の外部機関から競争的資金を含め、多くの外部研究資金の配分を受けていることから、当該資金の更なる適正執行の確保及び改正ガイドラインに対する対応のため、以下の取り組みを行うものとする。

1.機関内の責任体制の明確化

(1)競争的資金等の適切な運営・管理を確保するため、「最高管理責任者」及び「統括管理責任者」を置く。

(2)「最高管理責任者」は、産総研全体を統括し、競争的資金等の運営・管理について、最終責任を負う者とし、理事長がその任にあたる。また、「統括管理責任者」は、「最高管理責任者」を補佐し、競争的資金等の運営・管理について、実質的な責任と権限を持つ者とし、運営統括責任者がその任にあたる。

(3)ガイドラインが求める競争的資金等の適正執行のための教育やモニタリング等の具体策の実行については、外部研究資金を担当する社会実装本部長が、その責任と権限のもとその任にあたる。

(4)競争的資金等の運営・管理に関する業務は、関連部署の協力のもと、社会実装本部産学官契約部が「運営・管理責任部署」として、その業務にあたる。
「競争的資金等の運営・管理に係る責任体系」及び「不正防止の組織風土形成・意識向上のための連携体制」【PDF:190KB】を参照

2.適正な運営・管理の基盤となる環境の整備

(1)ルールの明確化・統一化

① 研究者等の視点にたった分かり易い構成・表現等でマニュアルを作成し、随時見直しを図る。作成したマニュアル等は、イントラ及び職員説明会等を通じ、役職員等に周知する。

◆マニュアル等の作成方針
Ⅰ. 制度毎のマニュアルの集約化、統一化
Ⅱ. 公募から研究終了等各段階における事務手続や留意事項等の明示
Ⅲ. 制度毎の経費使用ルール及びFAQ等の集約化

(2)職務権限の明確化

① 不正使用の発生要因とされる契約職員給与、物品等調達及び旅費に関する事務処理については、それぞれ業務システムに基づき処理が行われ、当該処理フロー上で担当者が行うべき業務及びその責任等が明確化されており、担当者はその責任を自覚のもと、業務の遂行にあたるものとする。

(3)関係者の意識向上

① 平成17年1月に役職員の行動理念を定めた「産総研憲章」を制定し、また、平成18年1月に研究者が研究活動を行う上で基本となる規則や基準となる考え方を示した「研究者行動規範」【PDF:330KB】を策定してきたところであるが、産総研における役職員は、これらを踏まえ、引き続き、自らの使命と責任を自覚のもと、良識に基づいて誠実に行動するものとする。

② 役職員等に対するコンプライアンス意識の向上や競争的資金等の経費使用ルール等を浸透させるため、「研究者行動規範」、「研究倫理」等をカリキュラムとした各種研修及びe-ラーニング、並びに競争的資金等の事務手続及び経費使用ルール等に関する職員説明会を引き続き実施する。また、カリキュラムの見直し、参加対象者の義務付け及び誓約書の徴収等により、これらの実効性を高めるための措置を講ずる。

③ 競争的資金等の配分機関による確定検査、運営・管理責任部署による自主点検及びe-ラーニングによる理解度テスト等を通じ、役職員等の競争的資金等の使用ルール等の浸透度の把握に努める。また、確定検査等の結果を踏まえ、浸透が浅いと判断される研究ユニット等については、職員説明会等への参加を義務付けるほか、個別説明会を開催する等の措置を講ずる。

(4)告発等取扱、調査及び懲戒に関する規程の整備及び運用の透明化

① 通報制度
内外からの競争的資金等の不正使用に係る告発等は、法務・コンプライアンス部が通報制度に基づき受付部署として対応する。

② 連絡体制
競争的資金等の不正使用等が発覚した場合、理事長(最高管理責任者)、運営統括責任者(統括管理責任者)等組織内幹部及び関連部署、並びに経済産業省及び文部科学省等関係機関に対し、迅速かつ正確な情報が伝わるよう連絡体制を確立する。

③ 調査及び懲戒手続
Ⅰ. 不正にかかる調査並びに懲戒手続等については、「リスク管理及び危機対策に関する規程【PDF:104KB】」「内部通報等に関する規程【PDF:160KB】」「就業規則(職員就業規則【PDF:264KB】任期付職員就業規則【PDF:284KB】契約職員就業規則【PDF:277KB】)」及び「懲戒手続規程【PDF:286KB】」等を定め、運用してきたところである。
Ⅱ. 内外からの告発等により顕在化した競争的資金等の不正使用等については、危機対策チームのもと、運営・管理責任部署を含め関連部署が連携し、事実確認のための情報収集、事情聴取等の調査を実施する。
また、不正使用が明らかとなった場合には、関連諸規定に基づき懲戒手続を経て、職員等に対する懲戒処分等を厳正に行うとともに、その内容を対外的に公表することとする。

3.不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施

監査室による内部監査及び運営・管理責任部署による自主点検を通じ、競争的資金等の不正使用が発生する要因等の把握に努めるとともに、運営・管理責任部署が「防止計画推進部署」として、関連部署と連携しその対応策の検討や不正使用防止のための措置等を不正防止計画【PDF:131KB】として策定し、実施する。
また、最高管理責任者は、運営・管理責任部署から不正防止計画の実施状況等の報告を受け、必要な措置を講じる事項があると認めるときは、同部署に対して指示を行うものとする。

4.研究費の適正な運営・管理活動

(1)予算の執行管理
競争的資金等の執行は、研究課題毎に設定される予算コードに基づき、業務システムを用いて物品、旅費等の処理を行うため、随時、予算執行状況の把握を可能としている。
総務本部経理部及び研究実施部門等においては、予算執行状況の把握に努め、研究実施部門等は、予算執行の遅延等が懸念される場合には、担当の研究者に対し、注意喚起等の指導を行うものとする。
また、運営・管理責任部署は、競争的資金等について計画的な予算執行が行われるようマニュアル等に明示するとともに、職員説明会等を通じ、周知徹底を図るものとする。

(2)業者との癒着
物品等調達における業者との癒着については、研究実施部門等の調達請求時点におけるチェックポイントとして浸透を図るほか、運営・管理責任部署による自主点検項目として位置付ける等により、疑わしい取引の把握に努め、関連部署と連携し、未然の防止に努めるものとする。また、産総研と取引する業者から、不正取引に関与しない旨の誓約書を求めるものとする。
なお、癒着が明らかとなった業者については、「契約に係る指名停止等の措置要領【PDF:128KB】」等に基づき、指名停止等の措置を行うものとする。

(3)契約職員給与、物品等調達及び旅費に係る牽制機能

① 契約職員給与及び旅費
競争的資金等で雇用する契約職員については、「出勤簿システム」で労働時間の管理を行うため、日々、始・終業の記録が義務付けられているほか、出張、有給休暇等の申請も同システムに基づき、実施している。当該契約職員は、日々の始・終業の記録を通じ、自ら労働時間を管理するとともに、勤務時間内の能率の向上に努めるものとする。
また、当該契約職員の管理者等は労働実態を把握するため、管理下契約職員の出勤簿の閲覧権限を有し、随時、競争的資金等で雇用する契約職員の勤務状況の把握が可能であるとともに、その責任において、出勤簿の月締め処理及び出張等の承認並びに不適正な処理が懸念される場合には、その確認又は必要な指導等を行うものとする。

② 物品等調達
物品等の調達請求については、請求者以外のチェックを機能させるため、当該業務システムの処理フロー上、ユニット長等による承認が必要とされている。請求者及び業務システム上における承認者は、引き続き、調達請求時におけるチェックポイント等に留意し、請求手続又は承認を行うものとする。
また、物品等の購入に係る不正を防止するため、第三者検収制度を導入し、当事者以外の者が納品のチェックを行うものとする。

③ 業務処理状況の確認
契約職員給与、物品等調達及び旅費については、その請求から支払等各段階における業務処理状況の確認を行うとともに、複数の者によるクロスチェックを機能させる等により、予算の適正な執行に努めるものとする。

5.情報発信・共有化の推進

(1)相談窓口
内外からの競争的資金等に係る相談は、運営・管理責任部署が窓口として対応する。

(2)ガイドラインに対する取り組みの公表
ガイドラインに対する取り組みについては、競争的資金等の配分を受ける研究機関として対外的な説明責任等の観点から、ホームページにより公表する。

6.モニタリングの在り方

(1)モニタリング体制
理事長直下の組織として、業務執行、財務会計状況など産総研全般の内部監査と監事監査と連携して行う監査室を設置している。内部監査は「業務の有効性及び効率性」、「事業活動に係わる法令等の遵守」、「資産の保全」、「財務報告書等の信頼性」の実現のために、各業務が適切かつ効率的に機能しているかといった観点からの監査及びリスクアプローチ監査を引き続き実施し、内部監査の充実に努めるものとする。
また、競争的資金等のコンプライアンス強化のため、運営・管理責任部署に契約管理室を設置し、競争的資金等の適正執行を確保するため、自主点検等を実施している。なお、外部研究機関等で発生する不正使用の実態等も踏まえ自主点検項目及び実施方法等の見直しを図り、自主点検の実効性を高めるものとする。

(2)組織的連携
監査室及び運営・管理責任部署は、競争的資金等適正執行の確保のため、内部監査結果及びその対応等についての情報共有を図る等組織的な連携強化に努め、モニタリング機能の充実を図る。
また、内部監査及び監事監査の支援を行う監査室、並びに会計監査人による対応を行う総務本部総務企画部総務企画室は、緊密に連携し監査室、監事及び会計監査人の三者が適時適切に情報や意見交換が行えるようにし、それぞれの監査の効率的な実施に努めるものとする。

連絡先

社会実装本部 産学官契約部 契約管理室

〒305-8560 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第1(つくば本部・情報技術共同研究棟8階)
電話:029-862-6150  FAX:029-862-6151
Eメール:M-colproc-ml*aist.go.jp(*を@に変更して送信下さい。)