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身近な熱の有効利用

身近な熱の有効利用

2026/08/13

身近な熱の有効利用 熱電発電の普及目指す

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    電気に変換

     工場、焼却場、自動車など小規模分散している熱は、高温であるが効率よく電気に変換することは難しく、その多くが未利用のまま廃熱として捨てられている。そのような熱からの発電に適した方法として、ゼーベック効果を利用した熱電発電がある。ゼーベック効果は、材料の片側が高温で、反対側が低温という温度差があると、高温側から低温側に電子(または正孔)が移動し、その結果、材料の両端に電位差(電圧)が生じる現象である。

     この温度差を電気に変換できる材料を熱電材料と呼ぶ。熱電発電には、電圧の極性が反対の熱電材料を交互に接続したモジュールを用いる。熱電発電は50年以上にわたり研究され、多くの熱電材料が報告されているが、未だに広く実用化には至っていない。その主な原因は、熱電材料の高温耐久性の低さとモジュールの量産の難しさにあった。

    高温耐久クリア

     産業技術総合研究所(産総研)は多種多様な熱電材料とモジュールに関する研究を行っている。高温大気中で製造でき、長期間にわたって使用可能な熱電材料とモジュールの開発にも取り組んできた。これまでにカルシウム・コバルト酸化物をはじめとする独自の酸化物熱電材料と、酸化物モジュールの量産が可能な製造技術を開発した。このモジュールは高温側700℃の条件で、大気中で1万時間以上の連続発電と1000回以上のヒートサイクル試験をクリアしている。

    災害時は緊急電源として活躍する図

    災害時も活躍

     開発した酸化物モジュールを用い、工業炉や焼却炉、バイオマスバーナーの煙道に搭載する水冷式の「TeC (熱電変換器)キューブ」やIoT(モノのインターネット)センサー用電源として利用する空冷式の「ポータブルTeC」、鍋底に仕込んだ「TeCポット」などを製造し、実証試験を進めている。最近では、もみ殻や小麦くずなど穀物残渣(ざんさ)を燃料として、暖房や乾燥用の熱、バイオマスの運搬やバーナー作動用の電力、さらにバイオ炭を製造する小型トリジェネレーション装置の開発を企業と取り組んでいる。これらの製品は平時には省エネ装置として役割を果たすが、災害時にも熱と電気を避難場所で供給する緊急用製品として活躍する。

     今後、社会実装を目指し、低コスト化や価値創造を国内外の連携により進めていく。

    材料基盤研究部門
    首席研究員

    舟橋 良次

    FUNAHASHI Ryoji

    舟橋 良次首席研究員

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