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AIの3次元視覚

AIの3次元視覚

2026/08/06

AIの3次元視覚 日常の動画利用し学習

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    空間理解の「目」

     AI(人工知能)は、人に代わって文章や画像を生成し、人と自然な対話ができる。AIが言葉を扱う能力は、研究者を驚かすほど日々進化し続けている。一方で、AIが人と共生するには、言葉だけでは足りない。人は、部屋を見渡し、家具やそれらの位置関係などを理解する。しかし、こうした3次元視覚をAIに実装するのは極めて難しい。実装の前に、まずAIに必要なのは、映像を記録する単なる「目」ではなく、物体・空間・環境を理解する「目」である。

    スキャナー不要

     現実世界の三次元視覚をAIに学ばせるには、大量の3次元データが必要である。しかし、部屋の内部や建築物を3次元スキャナーで計測するには、時間と人手がかかる。そこで私たちは、3次元スキャナーを使用せずに動画から3次元データを自動生成し、それらを用いてAIに3次元視覚を学ばせることにした。

     カメラが動画を撮影しながら部屋の中を移動すると、机・椅子・床・壁などが異なる角度から何度も録画される。画像には、奥行きや物体の形、空間の広がりに関する情報が含まれている。それらを3次元データとして再構成し、AIが学習することで、3次元スキャナーを使用した従来手法と同等以上の性能で、家具やそれらの位置関係を認識させることに成功した。この成果は、AIに現実世界を理解させるための3次元データとして、日常的な動画を利用できることを示している。これにより、3次元視覚のAIを改善するための3次元データを容易に収集できるようになる。

    動画から3次元構造をAlが理解の図

    国際研究が重要

     これは、産業技術総合研究所(産総研)やニュルンベルク工科大学、フランス国立情報学自動制御研究所などとの国際共同研究である。世界では、国籍や専門分野を越えてAI研究が急速に進んでいる。そのため、AIを作るのに特に有利なのは、国際的な研究コミュニティーに入り、多様な視点を持ち、他分野の研究者とアイデアを共有することである。その中で日本のAI研究が進展するには、独自の強みを生み、それをいかにして磨くのかが重要となる。

     動画から3次元データを自動生成する研究は、ロボットに現実世界を理解させるための布石である。また、日本のAI研究が世界とともに前進するための一つの実践でもある。

    人工知能研究センター
    コンピュータビジョン研究グループ
    研究員

    山田 亮佑

    YAMADA Ryousuke

    山田 亮佑研究員

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