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脳活動で機器操作

脳活動で機器操作

2026/07/02

脳活動で機器操作 個人差解明・最適化目指す

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    意図を解読

     ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI、ブレイン・マシン・インターフェース:BMIとも呼ばれる)は、事故や疾患などによって身体を動かすことが難しくなった方の脳活動を計測・解析し、その情報を用いて機器を操作する「脳機能代替技術」である。例えば、実際に手を動かさなくても、手を動かす「想像」をするだけで脳活動が生じる。BCIでは、この脳活動をリアルタイムに解析することで利用者の意図を解読し、手にまひのある方のロボットハンドの操作や、全身の筋肉が衰えてしまう病気の方のパソコンを介した意思伝達などを実現する。

    「想像」で動かす

     BCIは、代表的な対象疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の意思伝達支援に加え、脳活動を利用者へフィードバックすることで脳機能回復を促す「脳血管障害後のニューロリハビリテーション」への臨床応用研究も進む。またBCIは、作業者や高齢者を支援する次世代インターフェースとしても注目されており、AI(人工知能)やロボット、仮想現実(VR)技術と融合した新たな人間機械協調技術への応用展開が期待されている。

     BCIには、視覚刺激や注意制御を用いるなどさまざまな方式が存在する。その中でも「身体を動かす想像」を用いる運動想像型BCIには操作性の個人差の問題がある。同じシステムを用いても、高精度に操作できる人と、十分な制御が難しい人が存在する。この問題の解決のため、個人差の神経基盤解明が求められている。

    脳波でカーソルを操作するBCIの写真

    知見を蓄積

     産業技術総合研究所(産総研)は、国立精神・神経医療研究センターおよび京都大学と連携し、BCI操作能力の個人差に関する研究を進めてきた。磁気共鳴画像(MRI)を用いた研究では、運動に関わる脳領域の大きさがBCI操作能力と関連することを明らかにした。さらに、BCIを安定して制御できる人では、運動関連領域と脳深部の基底核を結ぶ脳ネットワークが重要な役割を果たすことを示した。これらの成果は、BCIの適応基準を検討する上で重要な知見となるとともに、利用者ごとに最適化されたBCI技術の実現につながる。産総研では今後も、BCI操作性の個人差の問題の克服に向け、個人差メカニズムの解明と、個別最適化の実現を目指す。

    人間情報インタラクション研究部門
    脳情報技術研究グループ
    主任研究員

    笠原 和美

    KASAHARA Kazumi

    笠原 和美主任研究員

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