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「国研」26機関、役割を明確に分担

「国研」26機関、役割を明確に分担

2026/04/20

「国研」26機関、役割を明確に分担 産総研、経済発展追求し25年

日刊工業新聞寄稿記事「講壇」

    産総研理事長 石村和彦による日刊工業新聞「講壇」への寄稿コラムです。産総研の経営方針やそれを受けた具体的なアクション、自身の経験やマネジメント論、社会・技術動向への考えなど、石村の視点から複数のトピックを取り上げています。
    ※記事の版権は日刊工業新聞社にあり、許諾を得て掲載しています。

    日本には多様な研究機関が存在し、それぞれ明確なミッションを持っている。産業技術総合研究所(産総研)は産業の発展に資する研究を担う立場にあり、大学とは役割が異なる。産学官連携において重要なのは、研究機関をひとくくりにせず、目的に応じて使い分ける視点である。

     世の中にはどのような研究機関が存在しているのか、意外に知られていないのではないだろうか。日本には国立研究開発法人、いわゆる「国研」が26機関存在し、そのうち産総研を含めた三つの研究機関が「特定国立研究開発法人」に位置付けられている。数だけを見ると、「なぜこれほど多くの研究所が必要なのか」「似たようなことをしているのではないか」と感じる人もいるかもしれない。

     しかし、おのおのの国研は異なるミッションを持ち、行政目的を達成するために設けられている。例えば、文部科学省所管の研究機関の多くは特定分野の科学技術の水準の向上を担い、国土交通省所管の研究機関は国土やインフラ、防災に関わる課題に対応する。農林水産分野の研究機関は食料や農業の持続可能性を支えている。国立の研究機関として十把一絡げに語られがちだが、それぞれが明確な役割分担のもとに存在している。

    産総研つくばセンターの建物外観
    産総研は産業発展への貢献を旨とする

     その中で、産総研は経済産業省の所管にあり、産業の発展に貢献することを強く意識した研究を担う点で、他の国研とは異なる立ち位置にある。研究の成果を、いかにして社会実装し、経済や産業の発展につなげていくか。産総研は常にその問いを突き付けられながら活動してきた。そして、研究機関の中でも理化学研究所(理研)、物質・材料研究機構(物材機構)とともに、産総研は特定国立研究開発法人とされており、それぞれの立ち位置において世界トップレベルの成果を出すことが求められている。

     大学は産総研にとって、日本全体のイノベーション・エコシステムを形成していく上で重要なパートナーだ。大学では、研究者がそれぞれの関心に基づいて研究を進めることが尊重されている。いわゆる「学問の自由」である。個々の研究がすぐに役立つかは分からない。しかし、自由な探究の積み重ねから、新たな知や技術が生まれることを社会は期待している。その意味で大学と国研は役割が異なり、補完関係にある。

     産総研は2001年に工業技術院内の15研究所と計量教習所を統合して設立され、26年で25周年を迎えた。その間、こうした研究機関の全体像の中で、経済や産業の発展に資するという組織の目的と、その時々の経済や産業の状況を踏まえて今何をすべきかを考え続けてきた。私が着任してからは、「社会課題解決と産業競争力の強化」というミッションに基づき、国内外の企業や大学などと一丸となって我が国から多くのイノベーションを連続的に創出するために、日本のイノベーション・エコシステムの中核となるという目標を掲げて進んできた。

     研究機関は多くあるが、いずれも一様ではない。目的に違いがあるからこそ、それぞれが存在する意味を持つ。次回は、こうした立ち位置を踏まえた上で、産総研が具体的にどのような研究に取り組み、どのように社会との接点を築いているのかを紹介していきたい。

    理事長 兼 最高執行責任者

    石村 和彦

    ISHIMURA Kazuhiko

    石村和彦理事長の写真

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