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非石油系炭素資源の活用

非石油系炭素資源の活用

2026/06/11

非石油系炭素資源の活用 触媒反応効率化、コスト減

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    喫緊の課題

     地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)の排出削減という観点から、化学品や燃料の製造における石油依存を脱却し、原料転換を図ることは喫緊の課題である。そこで、産学官が一体となって、非石油系炭素資源から化学品や燃料を製造する技術の開発が行われている。

     非石油系炭素資源とは、廃プラスチックに由来する合成ガスおよびバイオマスなどである。合成ガスとは、CO2、一酸化炭素、水素から成る混合ガスのことである。

     非石油系炭素資源は一般に難反応性物質であるため、化学品や燃料への変換に必要な反応条件として、高温・高圧を必要とする。また、変換に際して水素を必要とする場合が多いことから、グリーン水素をどのように安定して入手するのかが課題である。さらに、有用物質を選択的に生成する手法も検討しなければならない。

     従来技術では、複数の反応装置を用いて、多段階で原料を反応させていた。非石油系炭素資源を用いた変換技術の社会実装には、原料の調達を含め、現行よりも安価な製造プロセスを開発することが不可欠である。

    装置1つで完了

     そこで著者らは、タンデム型触媒を用いた非石油系炭素資源からの化学品製造プロセスを開発している。タンデム型とは、異なる固体触媒を一本の反応管に直列に充填したシステムを指す。タンデム型触媒では、各触媒の温度や圧力などをそろえた状態で、効率的に反応を進行させることができる。各触媒で原料を順々に反応させることで、原料を目的の物質に変換する。タンデム型触媒を用いると、一つの装置で変換が完了するので、製造に関わるプロセスとコストの両方の削減につながる。しかし、触媒の組合せに注意しなければならない。それを誤ると意図しない副反応が進行し、反応の選択性が低下する。

    タンデム型触媒による合成ガスからの酢酸メチルと酢酸の直接合成の図

    炭素循環社会に

     これまでに、銅系複合酸化物とモルデナイトゼオライトの二成分を用いると合成ガスから酢酸メチルと酢酸が、ニッケルシリカアルミナとフェリエライトゼオライトの二成分を用いるとエチレンからイソブテンが合成できることを見出している。現状では、タンデム型触媒を用いた化学品の生成は、実験室内での技術に留まっている。しかし、筆者らはこの技術が炭素循環型社会を支えとなることを目指している。

    化学プロセス研究部門
    固体触媒プロセス研究グループ
    研究グループ長

    志村 勝也

    SHIMURA Katsuya

    志村 勝也研究グループ長

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