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大強度中性子計測

大強度中性子計測

2026/05/21

大強度中性子計測 医療・電子機器に応用促進

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    信頼担保が必須

     放射線の利用はさまざまな分野で拡大している。放射線の一種である中性子も、近年はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)と呼ばれるがん治療への応用が進んでいる。また、放射線環境で使用される電子デバイスには耐放射線性が求められており、特に中性子に対する耐性試験が必要とされている。

     BNCTや耐放射線性試験では、加速器によって人為的に生成される大強度中性子が用いられるが、その強度とエネルギー分布を正確に把握することが治療効果や安全性、試験の信頼性につながる。

     近年の放射線シミュレーション技術の進化により、加速器生成中性子の特性はかなり精度良く予測できるようになってきたが、最終的には実測に基づく評価によって信頼性を担保することが不可欠とされている。一方で、従来の中性子検出器では大強度中性子の測定は容易ではなく、国際的にも重要な技術課題である。

    検出器を開発

     こうした中、産業技術総合研究所(産総研)は、大強度中性子の強度とエネルギー分布を精密に測定できる検出器を開発した。従来の検出器では、大強度中性子を測定すると、短時間に大量の電気パルス信号が発生して互いに重なり合い、信号の数を正確に計数できないという問題があった。開発した検出器では、従来の放射線による蛍光体材料の発光を利用するシンチレーション型センサーを基盤としつつ、そのセンサーが出力する信号の処理をパルス計数から電流積分に転換することでワイドダイナミックレンジを実現した。中性子測定では測定環境に混在するガンマ線の影響があるが、ガンマ線専用検出器を追加し、影響を精度良く補償する仕組みも備えた。

    大強度用中性子検出器の図

    応答特性を評価

     産総研は中性子の国家標準施設を保有しており、さまざまなエネルギーの中性子を照射し、その照射量を精度良く知ることができる。開発した大強度中性子用検出器も同施設で原理実証・性能評価試験をしながら改良を重ね、精度良く中性子を測定することに成功した。実用場面で重要となる検出器の方向特性なども詳細に評価した。

     今後は中性子医療現場や電子デバイス試験施設の大強度中性子に対する実証試験を進める。BNCT用中性子源の特性評価や電子デバイス試験の基準としての応用が期待される。

    分析計測標準研究部門
    放射能中性子標準研究グループ
    主任研究員

    増田 明彦

    MASUDA Akihiko

    増田 明彦主任研究員

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