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固体酸化物形燃料電池

固体酸化物形燃料電池

2026/05/07

固体酸化物形燃料電池 ナノ構造電極で高出力化

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    貴金属不要に

     水素などの燃料と酸素から電気を作る固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、化学エネルギーを電気エネルギーへ直接変換する電気化学デバイスである。高温(700~850℃)作動のため、電極での反応性が高く貴金属の利用が不要で、熱の有効利用も可能であることから、低温型の燃料電池に比べて高効率な発電が可能となる。そのため、SOFCは家庭用から産業用までの幅広い応用が期待されている。一方、さらなる普及には、一般的な発電設備と比べてシステムが大型となることや導入コストが高いことが課題である。産業技術総合研究所(産総研)は、SOFCシステムの社会実装を加速するため、出力密度向上技術や劣化抑制技術開発を進めている。

    コスト低減ヘ

     産総研はSOFCの空気極用薄膜電極に着目し、ナノスケールで構造を精密に制御した薄膜電極を開発した。この電極は、従来の空気極材料と一般的なイオン伝導体材料をナノスケールで規則的に積層・配置した緻密電極層と、ガス透過性の高い多孔質空気極材料の層を積層した構造で、電極反応活性の高い材料界面とガス拡散経路が最適化された構造となっている点が特徴である。この精密な材料構造設計により従来の一般的なセルの約10倍となる世界最高レベル(開発当時)の出力密度(700℃で4.5ワット毎平方センチメートル以上)を達成した。この成果は、燃料電池のセルスタックの小型化やレアメタル使用量の削減、将来的なコスト低減にもつながる。

    高出力セル化技術

    脱炭素に貢献

     SOFCの逆動作である固体酸化物形電解セル(SOEC)は、水蒸気を電気分解して水素を高効率に製造できる。さらに水蒸気と二酸化炭素(CO2)を同時に電解することで、合成燃料(e-fuel)の原料となる合成ガス(CO+H2)を高効率に製造でき、再生可能エネルギーを燃料に変換・貯蔵する技術である「Power to X」を支える最先端技術でもある。SOECはSOFCとほぼ同じ材料を用いるため、高出力化技術や劣化抑制ではSOFCでの材料・電極設計はSOEC技術開発においての基盤となる。
     産総研は企業や世界各国の研究機関とも連携し、技術開発を進めている。今後もSOFC・SOEC技術の社会実装を推進し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)社会の早期実現に貢献していきたい。

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    電気化学デバイス基礎研究チーム
    上級主任研究員

    Bagarinao Katherine

    バガリナオ カテリン

    Bagarinao Katherine上級主任研究員

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