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ネイチャーポジティブ

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2026/04/30

ネイチャーポジティブ 生態系の効率把握技術開発

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

     生物多様性の損失や自然資本の劣化が、世界的に問題となっている。ネイチャーポジティブとは、2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を契機に、国際的に広がった考え方である。2030年までに生物多様性の損失を食い止め、生態系や生物多様性を回復の軌道に乗せて、自然をより良い状態へと再生していくことが目標である。企業活動や地域づくり、政策などのさまざまな分野で、自然との共生を実現する取り組みである。

    実装を推進

     産業技術総合研究所(産総研)は、第6期中長期目標の下、2025年4月に七つの実装研究センターを設立した。その一つが「ネイチャーポジティブ技術実装研究センター」である。企業や自治体などと連携しながら、科学技術を活用してネイチャーポジティブの実現に向けた研究開発を行うとともに、研究成果の社会実装を推進している。

     同研究センターは、自然資本DB構築・価値解析、自然資本診断技術、生態影響・対策技術評価、自然資本サステナビリティー(持続可能性)分析の四つの研究チームから構成されている。総勢38名の研究者が、自然資本の計測・分析・評価・回復に関する技術を連携させて研究を行っている。

    リスク可視化

     研究の柱の一つは、企業活動と自然の関係を評価する技術の開発である。企業の自然関連情報開示の枠組みであるTNFDへの対応を支援するため、企業の自然依存リスクの可視化を進めている。サプライチェーンにおける資源利用や環境影響を定量化する分析ツールを開発し、水資源や鉱物資源などの利用と生態系への影響の評価を行っている。

     もう一つは、生物多様性や自然環境を観測するネイチャーテックの開発である。環境DNA分析や核酸センサー、AI(人工知能)、遠隔モニタリングなどの技術を活用し、生態系の状態を効率的に把握する手法の確立を目指している。

    ネイチャーポジティブ那須野が原アライアンスとして環境DNA調査の様子

    地域と連携

     また、地域と連携した自然資本の評価に対する取り組みとして、30by30目標の達成に向けたOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)の評価・モニタリング技術の開発やネイチャーポジティブ那須野が原アライアンスの立ち上げなどの共創活動も進めている。

     同研究センターは、企業や自治体、他の研究機関と連携して、ネイチャーポジティブ技術で自然の再生に貢献する。

    ネイチャーポジティブ技術実装研究センター
    副センター長

    保高 徹生

    YASUTAKA Tetsuo

    保高 徹生副センター長

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