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ナノ粒径の均一性評価

ナノ粒径の均一性評価

2026/04/09

ナノ粒径の均一性評価 電気移動度法で精密測定

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    製品性能を左右

     粒子は、電池、触媒、医薬品、化粧品など生活を支える製品の性能を左右する重要な原材料である。特にナノスケール(ナノは10億分の1)の微粒子(ナノ粒子)では、その大きさ(粒径)とばらつき(粒径分布)が製品特性に決定的な影響を与える。粒径分布がわずかに変化するだけで、比表面積、反応性、光学特性、電子的性質が大きく変わるためである。電池では充放電特性や寿命、触媒では反応速度や効率、医薬品では体内動態や薬効、化粧品では色彩や質感に直結する。そのため、高品質な製品開発と安定した品質管理には、粒径分布の把握が不可欠である。

    「分解能」を補正

     ナノ粒子の粒径分布を精確に評価する技術として、微分型電気移動度分析器(DMA)が有効である。DMAは、静電場中を移動する帯電粒子の電気移動度の違いを利用し、所定の移動度をもつ粒子のみを分級する装置である。粒径が小さくなるほど電気移動度が大きくなるため、DMAはナノ粒子の粒径分布評価に適している。さらに、DMAの粒径分解能は理論的によく理解されており、実験的にも検証できることから、分解能が粒径分布の拡がりに与える影響を補正した評価が行える。測定では、粒子をエアロゾル化して平衡帯電状態に調整した後にDMAに導入し、円筒電極の電圧を掃引(そういん)しながら、分級粒子を粒子計数器で検出することでDMAスペクトルを得る。解析では、このスペクトルの電圧に対応する電気移動度を粒径のべき関数として近似することで、DMAの分解能の影響を補正する。これにより、粒径分布のモーメントから平均粒径や標準偏差などの粒径分布特性を高精度かつ定量的に決定することが可能となる。

    電気移動度分析器(DMA)の分級原理の図

    産業界に展開

     産業技術総合研究所(産総研)では、DMA技術を用いて、10ナノメートルから300ナノメートルの粒子を対象とした平均粒径および粒径分布の標準偏差の値づけ依頼試験を実施している。さらに、100ナノメートルと300ナノメートルの標準粒子の認証・開発にも活用している。これらの標準粒子は、粒径の均一性が極めて高く、粒径分布の標準偏差を平均粒径で除した変動係数はそれぞれ2.4%と0.75%と小さい。今後は、この精確な粒径分布評価技術を産業界に広く展開し、製品性能と信頼性の向上、さらには産業競争力の強化に貢献していきたい。

    物質計測標準研究部門
    粒子計測研究グループ
    主任研究員

    高畑 圭二

    TAKAHATA Keiji

    高畑 圭二主任研究員

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