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技術革新の生態系、AIが切り札

技術革新の生態系、AIが切り札

2026/03/02

技術革新の生態系、AIが切り札 多様な産学、「面」でつなぐ

日刊工業新聞寄稿記事「講壇」

    産総研理事長 石村和彦による日刊工業新聞「講壇」への寄稿コラムです。産総研の経営方針やそれを受けた具体的なアクション、自身の経験やマネジメント論、社会・技術動向への考えなど、石村の視点から複数のトピックを取り上げています。
    ※記事の版権は日刊工業新聞社にあり、許諾を得て掲載しています。

    イノベーション・エコシステムを日本に生み出すには、多様なプレイヤーが面と面で繋がる必要がある。産業技術総合研究所はオープンイノベーション特化型AI(人工知能)エージェントである「Bibbidi(ビビディ)」を切り札として、日本が抱える課題を解決していく。

    産総研は社会課題解決と産業競争力強化というミッション達成に向け、日本のイノベーション・エコシステムの中核になることを目指している。

    日本が持続的に価値を生み出すためには、技術の研究開発から社会実装までのサイクルを、企業や大学、産総研などの研究機関が連携して回し続けるイノベーション・エコシステムを強化することが重要である。

    これまで産総研は大学や企業との共同研究や人材交流を通じて連携を進めてきた。しかし、社会課題の複雑化と産業構造の急速な変化が進む現在、従来の「点と点」の連携から、多様なステークホルダー(利害関係者)が関わる「面と面」での連携に転換することが求められている。ここでは、必ずしも産総研発の技術を社会で活躍させる、という一本道に縛られる必要はない。社会のニーズに応じて、産総研がつながる大学やほかの研究機関の知も柔軟に組み合わせることが必要だ。

    オープンイノベーション特化型AIエージェントBibbidi
    技術を誰でも簡単に「探索」「活用」「展開」ができる
    オープンイノベーション特化型AIエージェントBibbidi

    その実現に向けて、産総研の100%出資子会社であるAIST Solutions(AISol)の活動が重要になっている。AISolは市場動向や企業ニーズを分析し、産総研の持つ技術シーズを使ったソリューションを提案し、企業と産総研を結んできた。ただ、先に述べたとおり、単に産総研と企業を結ぶだけでは不十分である。日本全体で保有する技術シーズを社会の課題解決へと効率的につなげていくには、多様なプレイヤーを巻き込み、面と面のつながりを作る必要がある。ここで、日本が抱える課題は、誰がどのような技術シーズを持っているかを把握しにくい点である。

    この課題を解決するカギが、AISolが開発するオープンイノベーション特化型AIエージェントのビビディだ。ビビディは、専門家でなくてもビジネス用語を使って研究成果を組織や分野を横断的に探索・分析し、課題解決に適した技術を導き出せる。また、膨大な技術情報の組み合わせにより人だけでは思いつかなかったような新たな用途・アイデアの発見を可能にする。ビビディは現在、産総研と物質・材料研究機構(NIMS)に加え、他の研究機関や大学などが保有する技術情報との連携を拡充しつつある。将来的には、日本中の先端研究と日本中の企業とをつなぐことができる、唯一無二の産学連携プラットフォームを目指す。

    今後の連携は、単なる企業や大学との共同研究を積み上げるだけでなく、イノベーションを生む協働体制を機動的に構築しなければならない。そして、その動きはビビディのようなAIツールによって効率化できるはずだ。産総研はAISolとともに体制の基盤を提示し、全国の大学や企業とともに新しい連携の形をつくり上げていく。そして、日本全体に広がるイノベーション・エコシステムを形成し、社会課題の解決と日本の産業競争力強化に挑む。産総研はその中心に立つ覚悟を強く持っている。

    理事長 兼 最高執行責任者

    石村 和彦

    ISHIMURA Kazuhiko

    石村和彦理事長の写真

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