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共有結合性有機構造体

共有結合性有機構造体

2026/02/12

共有結合性有機構造体 超イオン伝導体に応用

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    高い安定性

     2025年のノーベル化学賞の研究対象である金属―有機構造体(MOF)は、金属イオンに有機分子が配位結合して構成される多孔質材料で、高い結晶性と高比表面積という特徴を有する。細孔の大きさや形状により、さまざまな分子を特異的に取り込めることから、ガス貯蔵、触媒、エネルギー材料など多岐にわたる応用が期待される。

     MOF同様の特徴を有し、有機分子同士が共有結合して形成される共有結合性有機構造体(COF)はさらに熱的/化学的な安定性に優れた新しい高分子多孔質材料である。COFがMOFよりも優れた安定性を示すゆえんは、配位結合よりも強い共有結合により構造を形成していることである。構成分子の選択により、構造(二次元シート、ジャングルジム型、星型など)、細孔サイズ(0.7マイクロメートル<マイクロは100万分の1>以下のウルトラマイクロ孔も可能)を自在に調整でき、官能基の選択によってもさまざまな特性を付与できるため、急速に研究開発が発展している。

    伝導性を向上

     こうした安定性の高いCOFは、規則的細孔を有しイオンが通る経路を形成できるため、有機系の超イオン伝導体として有望である。超イオン伝導体は固体の中をイオンが高速に動く特性を有し、固体電解質とも呼ばれる。イオン伝導性COF(ICOF)として報告されているもののほとんどは、最終的に粉体として得られる。産業技術総合研究所(産総研)では、直接膜状でCOFを合成する方法を見出し、イオン交換処理条件を最適化することで、ICOF膜のリチウムイオン伝導性向上に成功した。有機固体電解質として世界トップレベルの単一リチウムイオン伝導率(室温で40マイクロジーメンス毎平方センチメートル以上)を達成した。この成果により、ICOFのリチウムイオン二次電池への応用が期待される。

    薄膜を変形させても折り目や損傷がないことを説明する図

    高機能膜開発へ

     現在は、耐熱性の高いCOFを用いた高分子形燃料電池(PEMFC)用のプロトン交換膜の開発にも取り組んでいる。40年までに、高温低湿度下で高いプロトン伝導を示すCOF膜を開発することを目標としている。今後、さらなる伝導率の向上を狙ったICOFの開発およびICOFを用いた全固体有機二次電池の実用化、高温型PEMFCの実現に向け研究を加速させたい。

    電池技術研究部門
    分子応用エネルギーデバイス研究グループ
    主任研究員

    加藤 南

    KATO Minami

    加藤 南主任研究員

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