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CO2分離材料 耐久性評価

CO2分離材料 耐久性評価

2026/01/29

CO2分離材料 耐久性評価 加速劣化試験で知見蓄積

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    脱炭素に不可欠

     気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」で、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5度Cに抑える「1.5度Cシナリオ」が掲げられた。この実現には、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収・吸収して貯留・固定化することで排出量をマイナスにする技術である「ネガティブエミッション」が欠かせない。さまざまなネガティブエミッション技術の中でも、空気中のCO2を分離回収する直接空気回収技術(DAC)は削減ポテンシャルが大きく、実証が進んでいる。

     DACに利用されるCO2分離技術として、液体や固体に吸収や吸着させる方法、CO2を選択的に透過する膜で分離する方法がある。実用化に向けては、これら固体、液体、膜などCO2分離材料の耐久性が重要となる。大気にはCO2、窒素(N2)のほか酸素(O2)、水蒸気などが含まれ、酸化や加水分解による材料の劣化は避けられない。長期運転を見据えると、分離性能が時間とともにどのように変化するのかを把握し、寿命を見積もる評価技術が不可欠になる。

    装置・手法 構築

     そこで、産業技術総合研究所(産総研)では、模擬ガスを材料に暴露しながら加熱し、排ガスを質量分析、材料を各種分光法で追跡する加速劣化試験装置と評価手法を構築した。一例として、イオン液体(イオンのみからなる室温で液体の塩)を用いた分離膜を評価した。イオン液体を対象に加速劣化試験を実施した後、劣化したイオン液体を膜化してCO2透過性能の変化を解析した。劣化においては、特定のイオン液体では、O2存在下でイオン液体のカチオン(陽イオン)・アニオン(陰イオン)双方が分解し、O2分圧や温度の上昇に伴い、より速く分解した。一方、性能に関しては、アニオンが40 %分解するまではCO2とN2が膜を透過する速度は増大し、選択性はほぼ維持された。劣化が直ちに性能低下につながらないという知見は、材料設計、運転温度や交換時期を合理的に決める上で重要である。

    二酸化炭素分離材料の加速劣化試験装置の画像

    産業共通基盤に

     加速劣化試験による耐久性評価技術を、CO2分離材料全般に展開し、産業界と共有できる共通基盤へと発展させることが目標である。日本発の高耐久CO2分離材料の発見に貢献できるよう、研究を進める。

    化学プロセス研究部門
    分離材料研究グループ
    研究グループ長

    河野 雄樹

    KOHNO Yuki

    河野 雄樹研究グループ長

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