日本海上越沖で掘削採取された、塊状のメタンハイドレート(水分子とメタン分子からなる氷状の固体物質)の強さ(強度)や硬さ(剛性)を測定することに、世界で初めて成功した。メタンハイドレートは、低温高圧下では安定しているが、常温大気圧下ではメタンガスと水に分解してしまうため、天然のメタンハイドレートの強度や剛性を測定するのは極めて困難であった。産総研では、深海底の水圧を保持したまま採取されたメタンハイドレートの物性を評価する装置の開発を進めており、今回、産総研と明治大学が協力して採取した表層型メタンハイドレートの強度や剛性を測定する実験に成功した。深海底の泥の中に塊状で存在する表層型メタンハイドレートが、どのくらいの硬さで、また力学的にどのように安定しているのか、これまで明らかになっていない。メタンハイドレートの強度や剛性は、表層型メタンハイドレートの具体的な回収技術(砕く、壊す、集めるなど)の検討や、メタンハイドレート開発時の海底地盤の力学的安定性を評価する上で重要な物性である。今回の研究成果は、深海底の資源開発及び環境評価へ重要な役割を果たすことが期待される。
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