再生医療に有効な
「高品質な細胞」を見極める
「iPS細胞」という名前を、聞いたことがある人も多いかと思います。皮膚や血液など、体中の様々な組織に成長できる、万能な細胞。これにより「患者に必要な細胞をiPS細胞から作って移植する」という治療が可能になり、怪我で傷ついた身体や、病気で失われた臓器を回復する技術として、世界中で研究開発が進んでいます。
iPS細胞は、幹細胞と呼ばれる細胞の一種。私が研究しているのは、この幹細胞の「品質評価」です。再生医療を行うには、幹細胞を培養して増やしていく必要があります。ですが、細胞は生き物。増えていくうちに、どうしても品質にバラつきが出るんですね。例えば、幹細胞から神経細胞を作りたいと思っても、「神経細胞になりやすい幹細胞」と「神経細胞になりにくい幹細胞」ができてしまう。だからといって、実際に神経細胞ができるまで見守るのも時間がかかりますし、貴重な幹細胞ですから、細胞自体を壊すような試験も行いたくない。そこで私が取り組んでいるのが、幹細胞の状態を保ったまま「この幹細胞はどの組織になりやすいか」を評価したり、低品質の幹細胞を見分けて除去したりする技術の開発。高い品質の幹細胞を効率よく見分けることで、再生医療の普及に貢献できればと研究を進めています。