産総研に入ったきっかけ
興味の入口は、多種多様。
皆さん、今日はよろしくお願いします。まずは、産総研入所のきっかけについて、教えていただけますか。

斎藤
私は修士1年の時に参加した、産総研のインターンがきっかけです。大学院では食品系の学部で、生命科学の研究をしていました。周りは食品メーカーの研究開発職に就く人が多かったので、自分もそうなるだろうと思っていましたが、研究所の総合職という存在を知って、なんだか面白そうだなと。あとはその時の採用担当、宮下さんだったんですが、「すごい、なんだこの人は!」と思ったのを覚えています(笑)。

宮下
当時は、総合職の魅力を伝えることを24時間考えていましたからね。インターンでも、学生に参加したことを絶対に後悔させないインターンを目指していました。僕が産総研に入った理由は、学生時代の研究者を目指した経験にあります。社会学がすごく好きで、社会学者になりたかったんですよ。一方で、社会学って面白いのに社会で全然使われてなくて。先生に「人文系の学問なんてそういうものだから」って言われて、「いや、そうか?」と思ってしまって。価値ある研究成果を社会に繋げられる仕事をしたいと思って、産総研の仕事を選びました。


松尾
僕は正直、何も意識せずに産総研を受けてしまったタイプです。2回就活しているんですよ。1回目はある会社から内定を頂いていたんですが、卒業の1ヵ月前に留年が決まり内定を辞退しました。そのあと、休学も経て、2回目の就活は違う業界を受けようかなと。ナビサイトでたまたま目についたのが産総研で、とりあえず応募したというのが正直なきっかけです。
僕の就活の軸は、クルマが好きとか、特定のサービスが好きだから、ということではなく、しっかりした商材がある組織で、その価値を高めていく仕事がやりたいなと思っていました。以前、芸能事務所に出向していたんですが、そこで言えば商材はタレント、産総研で言えば研究者や研究成果。産総研は商材がすごくしっかりしている組織で、その価値を高められるかもしれない、そんな仕事ができるという点で自分の軸に合っていて、産総研を選んで良かったなと思います。

渡邊
私は大学院時代に生命科学の発生学分野の研究をしていて、基礎研究を極めたい気持ちもありつつ、もっとその知見を生かした再生医療分野の応用研究をやってみたいと考えていました。世の中のニーズに応えられるような研究がしたいと思った時に産総研を知って、ぜひここで研究開発をしたいなと思いました。産総研では、研究室に閉じずに所内外の連携プロジェクトや企業との共同研究など、様々な角度で研究に関われることもすごく面白そうだなと感じました。

猪股
僕は元々別の公的研究機関にいて、そこで超伝導量子ビットに関する研究を11年半していました。2015年頃に、産総研の知り合いから「研究職の公募に応募してみないか」と誘われて、2016年10月に産総研に着任しました。僕はちょうど2000年になる前の学部生の頃に、初めて「量子コンピュータ」という単語を聞き、その数年後、自分で考えた超伝導量子ビットに関連するテーマで博士論文を書き、2005年に博士号を取得しました。でもその頃は、超伝導量子の研究をやっているところは2拠点程度しかなかったんですね。そのうちの一つ、産総研ではない公的研究機関では、世界最先端の超伝導量子に関する研究をやっていたので、そこに入って知識や技術を磨きました。産総研に着任したのは、産総研でもいよいよ超伝導量子の研究を始めるというタイミングでした。