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1億年のマグマ活動史

1億年のマグマ活動史

2026/03/19

1億年のマグマ活動史 岩石読み解き噴火に備え

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    活発な火山活動

     日本列島は、海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込む沈み込み帯に位置している。このような場所では、火山活動が活発で、噴火や火山ガスの放出などが甚大な災害の要因となる。特に、カルデラを形成するような超巨大噴火は、10数万年前から現在まで、およそ1万年に1度の頻度で発生してきた。

     高温の火砕流や大量の火山灰は、人間社会のみならず、気候にも影響を与える。火山活動を理解するには、現在活動中の火山だけでなく、古い時代にまでさかのぼって、マグマ活動を記録する岩石・地層情報を解読する必要がある。

    情報基盤を構築

     産業技術総合研究所(産総研)地質調査総合センターは、地殻を構成する火成岩や変成岩などが分布する地域を調査して、火成活動の履歴や地質構造の形成史を調べ、日本列島が位置する沈み込み帯の長期変動の解明に取り組んでいる。

     同センターは、日本列島と朝鮮半島に分布する白亜紀から古第三紀までの火成岩について、これまでに報告があった形成年代の測定値および起源の推定に用いるストロンチウムとネオジムのそれぞれの同位体比を網羅的に収集・整理し、データベースを構築した。

     日本列島には、溶結凝灰岩が広範囲に分布している。溶結凝灰岩とは、火砕流として流れ出た火山灰や軽石が堆積し、自重と熱で融けあって固まった岩石である。これは、巨大カルデラ噴火が発生していた痕跡である。データベースを用いて、日本列島でのマグマ活動の履歴を調べた。その結果、火成岩の起源が約1億年前に大きく変化したこと、また溶結凝灰岩の形成時期が9千万〜6千万年前に集中していることが明らかになった。これらの結果は、地殻底部への熱いマントルの流入が地殻全体の熱状態を変化させ、多数の巨大カルデラ噴火を発生させる原因になったことを示唆している。

    岐阜県中津川市の木曽川で撮影された、約7000万年前の巨大カルデラ噴火を記録している溶結凝灰岩の写真

    長期視点で理解

     個々の火山や岩体を詳しく調べる研究は数多くある。しかし、各火山の活動履歴を相互比較すると、沈み込み帯全体がどのような変遷をたどってきたのかがわかる。本研究は、日本列島における現在の火山活動を「1億年にわたるマグマ活動」の視点から捉え直し、将来起こりうる巨大噴火を長期的視点から理解する基盤を提供する。

    地質情報研究部門
    地殻岩石研究グループ
    研究員

    山岡 健

    YAMAOKA Ken

    山岡健研究員の写真

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