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3次元地質地盤図

3次元地質地盤図

2025/12/04

 

3次元地質地盤図 軟弱層の分布を可視化

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    第3弾完成

     2011年の東日本大震災を契機として、国内で地盤リスクへの関心が高まった。13年から、産業技術総合研究所(産総研)は、経済産業省による知的基盤整備の一環として「3次元地質地盤図」を整備している。これは、都市域における地下の地層の分布を立体的に示したデジタル地質図であり、公共工事などで得られたボーリング柱状図を利用して作成されている。地盤図は、産総研のウェブサイト「都市域の地質地盤図」で無償公開されている。地下数十メートルの詳細な地質構造の情報を表示することができ、地質構造の立体表示や断面図の作成なども可能である。防災や都市計画、インフラ整備など、さまざまな分野での活用が期待される。

     25年4月、産総研は都市域の3次元地質地盤図シリーズ「千葉県北部地域」「東京都区部」に続く第3弾として、「埼玉県南東部」を完成させた。埼玉県南東部は、さいたま新都心をはじめとした行政・商業・物流の機能が発展した地域である。そのため、首都直下地震が発生した場合、これらの機能への被害が懸念される。

    台地下もリスク

     今回の3次元地質地盤図の整備では、埼玉県環境科学国際センターの協力の下、産総研の地質研究の成果に基づいて、1万地点超のボーリングデータを対比した。その後、コンピューターでデータ処理を行い、3次元地質構造を描出した。その結果、荒川・中川低地などに対して、軟弱地盤である沖積層の詳細な分布を示すことができた。また、これらの低地に挟まれた大宮台地の地質構造を解析することにより、一般に低地と比べて地盤が良好とされる台地の地下にも、軟弱な泥層を主体とする木下層下部が局所的に分布していることが明らかとなった。これらの軟弱層は地震動の増幅や地盤沈下の要因となる可能性がある。今回の地下地質の可視化により、沖積層だけでなく、これまで把握が難しかった台地下の地盤リスクも3次元で示すことができた。

    さいたま新都心周辺の地層基底面の図

    調査範囲を拡大

     3次元地質地盤図は、科学的根拠に基づく防災・減災対策を支える基盤情報を提供して、災害に強い安全・安心な都市づくりに貢献する。今後は、調査の範囲を拡大して、首都圏の主要部を含んだ3次元地質地盤図を整備する予定である。

    地質情報研究部門
    情報地質研究グループ
    研究員

    米岡 佳弥

    YONEOKA Keiya

    米岡 佳弥研究員

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