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太陽光発電 主力電源に

太陽光発電 主力電源に

2025/11/20

 

太陽光発電 主力電源に 日射実測値から出力増減

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    コスト分担課題

     太陽光発電を主力電源とするには、長期的な安定化が不可欠である。太陽光発電の出力は、昼間の天候に左右される。また、大量導入時には、既存の電力ネットワークとの調和・統合も求められる。さらに、安定化対策のコストを誰がどのように分担するかが課題となっている。

     既存ネットワークへの統合コストに関しては、太陽光発電の系統運用者が対策を行い託送料金で負担する方式、太陽光発電の事業者に機能要件を課してコストとして負担してもらう方式、市場取引を通じて価値をやり取りする方式がある。社会全体でのコストの最小化には、これらの最適な組み合わせが重要となる。

    電力調整を支援

     一方、太陽光発電の導入が拡大するにつれて、昼間の電力が余剰となり、国内スポット市場では1キロワット時あたり0.01円という最低価格の時間帯が増えている。これは発電電力量の価値の低下を意味している。そこで、発電事業の継続には、市場環境に応じた電源価値の創出が求められる。事業者が自ら調整力を持ち、市場を活用して収益を高めることが、ひいては電力供給の安定化につながる。

     産業技術総合研究所(産総研)は、太陽光発電システムが電力需給を自ら調整できるように、「ヘッドルーム制御技術」を開発・実証している。この技術は、通常運転時に出力可能な最大発電電力を日射の実測値から瞬時に推定し、出力を抑制して電力の調整に利用する電力分を確保する。逆に、需要や系統状況が変化すれば、出力を即応的に増減させる。産総研の福島再生可能エネルギー研究所で、250キロワットの太陽光発電設備を用いて実証実験を行った。その結果、余剰電力の最小化やコスト削減、電源価値の創出に対する有効性を確認した。

    直射の計測値から推定した発電電力のグラフ

    エネ供給29%へ

     太陽光発電の導入は、地域共生を前提としている。しかし、大量導入時にはエネルギーの有効活用を図るため、個々の発電事業者が自立しながら、既存の電力ネットワークに太陽光発電システムを統合できる仕組みが求められる。

     第7次エネルギー基本計画では、太陽光発電がエネルギー供給の23~29%を担うことが期待されている。総括原価方式にこだわらず、自由経済の中でどのようにして太陽光発電の電源価値を創出し、主力電源化を進めるかが今後の課題である。

    再生可能エネルギー研究センター
    総括研究主幹

    大関 崇

    OOZEKI Takashi

    大関 崇総括研究主幹

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