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「見る」地質研究の挑戦

「見る」地質研究の挑戦

2025/10/23

 

「見る」地質研究の挑戦 AI解析、粒子分類に革新

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    地球を読み解く

     私たちが活動する大地や海の下には、無数の小さな「砂つぶ」が眠っている。これらは、過去の地球の活動を読み解く重要な手がかりである。

     地層中に含まれる微小な化石や鉱物などを観察することは、地層が形成された時代や環境を推定するために重要であり、資源探査・災害対策・地球温暖化の将来予測などに役立てられている。しかし、これまでは、地層から採取した砂つぶ(粒子)は、人が顕微鏡で粒子の形状を観察して(見て)種類や個体数を分析する必要があった。このため、「見る」地質学的研究は、熟練の研究者が時間をかけて実施しなければならないという課題が存在した。

    ロボアーム連携

     そこで、産業技術総合研究所(産総研)では、地層中のミクロな粒子の観察にAI(人工知能)技術を導入することで、調査の迅速化・高解像度化を進めている。

     まず、デジタル顕微鏡を用いて観察範囲の高解像度な画像を取得する。次に、物体検出や画像分類などのAI技術を用いて、AIが粒子の種類や位置を判別して観察対象となる粒子の画像を抽出する。産総研ではロボットアームと連携して対象の粒子だけを拾い出すシステムも開発しており、砂つぶの中の微小な化石や鉱物を「自動で分類して拾う」ことが可能となっている。

    産総研の顕微鏡・AIシステムの図

    スピード100倍

     AI解析の導入により、研究・調査の効率化が実現できた。産総研の顕微鏡・AIシステムでは、360枚のプレパラートを1日程度で解析することが可能である。これは、従来の人間の観察と比べるとおよそ100倍のスピードである。また、高精度化に向けた検討も進め、魚の歯やうろこの化石の分析では、人間(著者)と比べておおむね10%以下の誤差で化石数のカウントができることを確認した。

     一方で、AIを導入により新たな研究課題も見えてきた。地質学では、従来は経験に基づいて形状や色などの基準に従って粒子を分類してきた。AIによって収集された膨大な粒子画像に基づいて、この分類基準自体をブラッシュアップすることができれば、「見る」地質学のさらなる発展につながるのではないかと考えている。

    地質情報研究部門
    地球変動史研究グループ
    研究員

    見邨 和英

    MIMURA Kazuhide

    見邨 和英研究員

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