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希土類安定供給へ

希土類安定供給へ

2025/10/02

希土類安定供給へ 鉱床調査・低コスト生産磨く

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    電動車で需要増

     二酸化炭素(CO2)排出量が少ない電動車にはさまざまな金属が必要とされているが、特に供給が懸念されるのはネオジム磁石に使用される希土類(レアアース)である。この磁石には軽希土類であるネオジムの他に重希土類であるジスプロシウムも使用されている。現状では、ジスプロシウムの生産は中国の鉱床に依存しているが、世界各地には未開発の鉱床が存在する。

     しかし、鉱床が豊富な資源量を持っていても、採掘から希土類の浸出(抽出)までが高コストであれば鉱山開発は難航する。そのため、希土類鉱床を発見・評価する技術と、鉱物から資源として経済的に希土類を取り出す技術が強く望まれる。産業技術総合研究所(産総研)は、国内への希土類の安定供給のため、鉱床の調査や低コストな鉱山開発の研究を行っている。

     鉱床は成因(でき方)によっていくつかの型に分類されるが、重希土類のほとんどはイオン吸着型鉱床から生産されている。イオン吸着型鉱床は風化した花こう岩などに含まれる粘土鉱物表面に希土類が静電気的に「吸着」して存在している特徴を持つ。この吸着は弱いため、希土類は低濃度の電解質溶液(硫酸アンモニウム水溶液など)を用いたイオン交換により低コストで簡単に抽出可能であり、不純物の分離や、シュウ酸塩・炭酸塩としての沈殿・分離も容易である。これは他の鉱床にはないイオン吸着型の最大の利点である。

    希土類の抽出のイメージ

    資源国と連携

     産総研では、イオン吸着型鉱床が現在の気候区分で温帯や熱帯に分布していることに着目し、東南アジア諸国を中心に鉱床の発見を目的とした調査を行ってきた。その結果、鉱石はリンやセリウムに乏しい傾向があること、重希土類に富む鉱床は特に二酸化ケイ素(SiO2)の含有率が高い花こう岩の上に発達することが分かった。この鉱床は地表付近に形成されるため、地道な地質調査と化学分析により発見できる。過去15年間で複数の国で新たに鉱床が発見されたが、鉱山開発では、重希土類に富む鉱床の発見に加え、いかに低コストで不純物を取り除きながら希土類を生産できるかが鍵となる。産総研では、資源国と連携しながらこの一連の研究開発を実施し、近い将来の希土類鉱山開発を目指す。

    地圏資源環境研究部門
    鉱物資源研究グループ
    上級主任研究員

    実松 健造

    SANEMATSU Kenzo

    実松 健上級主任研究員の写真

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