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マテリアルDX基盤

マテリアルDX基盤

2025/09/25

マテリアルDX基盤 材料開発 全プロセス再現

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    「実験なし」に

     材料開発では、実験データ解析や機能予測に計算シミュレーターが用いられている。しかし、現在のシミュレーターは、限られた物性しか予測できない。また、材料試作プロセスでは、時空間スケールの異なる現象や複数の物性が競合し、シミュレーターはそのプロセスをまだ代替できていない。材料デジタルツインは、材料設計・合成・評価計測からなるプロセス全体を再現する。材料データの創出は、データ駆動型材料開発に必要である。マテリアルDX基盤技術の確立には、これらに対応して、シミュレーション技術の向上が求められる。

     産業技術総合研究所は、実験をしない材料開発を可能にするため、界面材料の電気・熱伝導や電気化学特性を予測する量子化学・第一原理計算シミュレーターを開発してきた。これらからの材料データの蓄積により、電気化学デバイス材料などの複合材料に対しても、データ駆動型材料開発の実現が期待できる。また、時空間スケールの問題を解決する打開策として、以下を試みている。

    適用範囲を拡大

     まず、計算とAIの融合によるシミュレーションの適用範囲の拡大である。深層学習モデルを構築し、入力した組成・構造を基に導出された物性データを学習させ、シミュレーターだけでは対応できない時間スケール・材料サイズで生じる物性機能を予測する。組成・構造は、プロセス条件である配合比や合成経路、温度、圧力を変数として得られる。計算シミュレーションも併用して再現されるので、深層学習で予測される物性と併せれば、機能発現の機構解析にも利用できる。既に、金属ナノ接合形成および破断プロセス、ならびに電気伝導の同時計測に対し、仮想実験を世界で初めて成功させた。さらに複雑なプロセスにも適用できるように改良を進めている。

     次に、量子計算を活用したシミュレーターの大規模・高速化である。既存の量子化学計算などを対象に、計算量が多い部分へ量子アルゴリズムを適用し、古典計算機のみでは扱えなかった大規模分子系などの計算を可能とするシミュレーターを開発している。

    AIと計算趣味レーションで材料デジタルツインを構築する

    複数連携させる

     今後、複数のシミュレーターを連携させ、現実の材料試作プロセスを代替できるまでに発展させたい。計算データを基に、実験を必要としない材料開発の実現を目指す。

    マテリアルDX研究センター
    総括研究主幹

    中村 恒夫

    NAKAMURA Hisao

    中村 恒夫総括研究主幹の写真

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