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家庭のCO2排出削減

家庭のCO2排出削減

2025/07/24

家庭のCO2排出削減 スパコンで機器最適制御

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    さらなる脱炭素

     カーボンニュートラル社会の実現に向けた課題として、家庭部門の温室効果ガス排出削減がある。家庭部門では、2030年度までに、2013年度比でCO2排出量の66%の削減が求められている。しかし、2022年度での削減率はまだ24.5%であり、現状のままでは達成は困難である。

     そこで、産業技術総合研究所(産総研)は、家庭に設置された太陽光発電システム(PV)や空調機、給湯器、蓄電池などの家庭エネルギー機器を外部から最適に制御することで、世帯ごとに異なるニーズを満たしつつ、CO2の排出量を効果的に削減するための技術開発を行っている。本稿では、家庭エネルギー機器を対象とした産総研の制御技術を紹介する。

    蓄電池も拡大

     家庭エネルギー機器は、再生可能エネルギーのシェア拡大を進める上で、重要なエネルギー源である。2024年12月現在、家庭用PVは350万世帯以上に設置されており、総設備容量は1619万キロワットである。2030年までに、国内で家庭用定置型蓄電池も総容量2200万キロワット時となる300万台が設置される見通しである。

     現在、全世帯に設置が完了しているスマートメーターから、電力消費に関する30分間隔のビッグデータが得られる。データには、世帯ごとの生活様式や多様なニーズが反映されている。産総研では、このデータを社会全体で活用するため、大規模時系列データの取り扱いに特化したスパコンGAMAやAI解析に優れたスパコンABCIを駆使し、各家庭のニーズを満たして快適性を維持しつつ、機器の運用を最適化する制御技術を開発している。

    スーパーコンピューターGAMAの写真

    仮想空間で再現

     また、サイバー空間内で、現実の住宅を100万個の格子点に分割して忠実に再現する住宅デジタルツイン技術も開発している。関東の標準的なオール電化住宅では、年間CO2排出量は約3.8トンである。仮に家庭用PV10キロワットを設置した場合、1トンの排出削減ができる。これに加えて、本デジタルツインを用いた機器制御の最適化は、さらに0.8トンも削減できる可能性を示した。

     産総研は、これらの技術の高度化と社会実装を加速し、自治体や企業などとも連携しながら、カーボンニュートラル社会の実現に向けた研究開発を進めている。

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    データ駆動型社会システム研究チーム
    研究チーム長

    本田 智則

    HONDA Tomonori

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