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シロキサン精密合成

シロキサン精密合成

2025/06/26

シロキサン精密合成 重合度自在に構造制御

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    多様な特性付与

     シリコーンに代表されるシロキサン材料は、高い耐熱性や耐寒性、化学的安定性などを有し、調理器具など身近な製品から航空宇宙産業に至るまでの幅広い分野で使用されている高機能高分子材料である。その主骨格はケイ素原子と酸素原子が交互に連なったシロキサン結合である。ケイ素原子にはメチル基や、カルボキシル基、アミノ基など種々の官能基を有する有機基が結合している(図中のR基)。ケイ素原子に結合する有機基の種類やシロキサン結合の数(重合度)を変えることでさまざまな特性を付与できることから、多様なシロキサン材料が実用化されている。

    バラつき防ぐ

     シロキサン材料の代表的な合成方法は、クロロシランやアルコキシシランの加水分解縮合重合法と環状シロキサンの開環重合法だが、これらの方法では、シロキサン結合を精密に制御して合成することは困難であった。これに対して、産業技術総合研究所(産総研)では、シロキサン材料を高性能化するには、分子構造がバラつかないように合成する必要があると考え、シロキサン化合物のモノマー配列(有機基を有するケイ素化合物の並び順)と重合度の両方を自在かつ精密に制御して合成できるワンポット合成法を開発した。一つの反応容器の中にケイ素モノマーとアルコキシ源となる有機化合物を交互に加えて、シロキサン結合形成反応と末端基変換反応の2種類の反応を交互に行う。加えるケイ素モノマーの種類を変えることで配列構造を、2種類の反応を繰り返す回数により重合度を、それぞれ自在に制御できる。この手法でケイ素原子が10個程度のシロキサン化合物の精密合成が可能となった。

    シロキサンの結合形成反応の化学式

    高機能化を推進

     また、あらかじめ複数のケイ素原子からなるシロキサン化合物を合成しておき、これをビルディングブロック(大きな分子を合成する基になる小規模の分子)として上記のワンポット合成法に用いることで、より簡便に重合度の大きなシロキサン化合物を自在かつ精密に合成できる手法も開発した。この手法で、分子量が3,400強のシロキサン化合物でもモノマー配列構造を自在に制御して収率50%程度で単離が可能となった。

     今後は、シロキサン材料開発基盤の再整備と構造制御によるシロキサン材料の高機能化を進めたい。

    化学プロセス研究部門
    有機反応科学研究グループ
    研究グループ長

    松本 和弘

    MATSUMOTO Kazuhiro

    松本和弘研究グループ長

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