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AI×ロボへの挑戦

AI×ロボへの挑戦

2025/06/19

AI×ロボへの挑戦 日常生活まで汎用性向上

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

     生成AI技術の進展を背景に、ロボットの汎用性を向上させる研究が活発である。こうした研究が目指すのは、AIとロボット技術の融合がこれまで人手に頼っていた複雑な作業を自動化し、産業の現場だけでなく、日常生活における多様な作業をも支援する未来である。産業技術総合研究所(産総研)は、この課題を解決するための研究を行なっている。筆者は、以下に示す二つのテーマを担っている。

    「人型」の制御

     一つ目は、人型ロボット(ヒューマノイド)が実現可能な作業の幅を広げることである。ヒューマノイドが周囲の環境を認識する能力とその環境に適した運動の制御について、向上を図っている。ヒューマノイドの研究では、かつて二足歩行に焦点が当てられていた。しかし、近年は脚腕の協調運動が主に研究されている。それにより、ヒューマノイドは脚立の昇降や重量物の搬送をできるようになり、単なる移動だけでなく、移動した先で作業する能力も獲得しつつある。現在、ヒューマノイドの制御は、従来のモデル主体から学習に基づく手法へと移行が進んでいる。

    基盤モデル構築

     二つ目は、ロボットの身体構造や作業の種類を問わず、汎用的に適用可能な「ロボット基盤モデル」の構築である。それは、言語や画像に加え、力覚や触覚といった実世界での行動に不可欠な情報を含んだモデルである。2024年度から産総研は、このモデルの研究開発プロジェクトを始動した。生成AI分野における基盤モデルは、主に言語や画像の生成を対象としている。一方、ロボット基盤モデルでは、生成の適用範囲が動作にまで拡張されている。産総研では、コンビニエンスストアの店舗内および工場内の環境を再現した実験施設やAI橋渡しクラウド(ABCI)などの計算機資源、統一的なソフトウエアフレームワークを整備し活用しながら、大規模データセットを構築し、新規モデルを検証している。

    様々な作業をこなすヒューマノイドロボットの写真

    最終目標は同じ

     両テーマの技術背景は異なるがこれらの最終目標は共通しているため、今後はそれらを統合する方向で研究を進める。ロボットが知性を持ち、適応的に振る舞うようになれば、ロボットの応用分野は飛躍的に拡大するであろう。この技術で日本が存在感を発揮できるように、産総研は技術基盤の確立に注力している。

    次世代ものづくり実装研究センター
    ロボットソフトウェアPF研究チーム
    主任研究員

    室岡 雅樹

    MUROOKA Masaki

    murookamasakiの写真

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