変革につながるアイデアは、きっと研究の最前線にある。日本最大級の公的研究機関・産総研の公式ウェブマガジン。

衛星センター相互校正

衛星センター相互校正

2025/06/12

衛星センター相互校正 ISS"国産"データ精緻化

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    多分野に応用

     産業技術総合研究所(産総研)は、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」に搭載されている国産の多波長衛星センサーHISUIのスペクトル品質向上のための校正技術を開発・実装した。

     HISUIは経済産業省が開発し、宇宙システム開発利用推進機構が過去5年にわたり運用してきた日本初の衛星搭載型多波長(ハイパースペクトル)センサーである。HISUIは可視域から短波長赤外域までの広い波長域を細かく連続的に観測できる。観測波長数が限定されている従来のマルチスペクトルセンサーと比べ、地表面の細かな分光反射特性(スペクトル)を捉えることができるため物体の識別能力が高く、鉱物・植生・土壌のマッピング精密化による資源探査・環境調査など、さまざまな分野で応用が期待されている。

    NASAを参照

     宇宙から高品質なスペクトルを得るには、センサー出力の校正・検証が通常のセンサーよりもシビアに求められる。産総研が実施したのは、校正済みの他の衛星データをリファレンス(参照)とし、これを同時期に同サイトで撮られたHISUIデータと比較する「相互校正」である。相互校正は、内部光源校正のできない小型衛星センサーや、現地での同期観測(代替校正)が運用計画上困難なセンサーでも適用可能であり、さまざまな衛星ミッションに対応できるコストパフォーマンスに優れた手法である。

     本研究では、観測幅が広く、また校正実績が豊富な米航空宇宙局(NASA)の中分解能マルチスペクトルセンサー(MODIS)データをリファレンスとした。光の放射伝達過程や地表での反射過程をモデル計算することで、センサーの波長応答や空間分解能が大きく異なるHISUIとの相互校正を可能にした。結果、HISUIの多波長間の整合性が大きく向上し、スムーズな地表面スペクトルが得られるようになった。

    スペクトルのがたつきを相互校正により抑制する

    有望な選択肢

     近年では、主に国が主導する多数の衛星データが無償公開されており、民間企業が主導する「高解像度・高頻度」小型衛星センサーの軌道上での運用も増えている。しかし、時系列データの品質管理や、他データとの相互比較可能性の調査は十分でない。本研究手法は、こうした多数の衛星データに対し一貫した校正・検証を行う上でも有望な選択肢となる。

    地質情報研究部門
    リモートセンシング研究グループ
    主任研究員

    水落 裕樹

    MIZUOCHI Hiroki

    お名前+肩書の写真

    この記事へのリアクション

    •  

    •  

    •  

    この記事をシェア

    • Xでシェア
    • facebookでシェア
    • LINEでシェア

    掲載記事・産総研との連携・紹介技術・研究成果などにご興味をお持ちの方へ

    産総研マガジンでご紹介している事例や成果、トピックスは、産総研で行われている研究や連携成果の一部です。
    掲載記事に関するお問い合わせのほか、産総研の研究内容・技術サポート・連携・コラボレーションなどに興味をお持ちの方は、
    お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

    国立研究開発法人産業技術総合研究所

    Copyright © National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)
    (Japan Corporate Number 7010005005425). All rights reserved.