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ドローン群協調飛行

ドローン群協調飛行

2025/03/27

ドローン群協調飛行 機体間通信で自律制御

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    相互の位置確認

     近年、マルチコプター型飛行ロボット(ドローン)が多様な分野で活用されている。災害調査、警備、空中物流といった用途では、複数のドローンを同一空域で安全に運用する技術の確立が求められている。現状では、衝突を避けるために時間・空域を分ける事前調整が必要となるが、緊急性や危険性を伴う現場では、ドローンの自律的な制御が不可欠となる。こうした課題に対し、産業技術総合研究所(産総研)は、複数ドローンの群協調飛行制御技術を開発した。

     同技術は、ドローン間の情報交換により、ドローン同士が相互の位置関係や速度情報を活用しながら、目的地までの飛行経路を決定する仕組みを導入した。具体的には、各機体が機体間通信で得た情報から自律分散的に仮想的な力(目的地への引力や機体間の引力・反力・回転力)を合算し、次の行動を決定する。これにより、衝突を回避しながら群協調飛行が可能となる。

    1人で複数操作

     また、1人のオペレーターが複数のドローンを効率的に運用できる遠隔操作インターフェースも開発した。このシステムでは、各ドローンから送信された情報を集約し、仮想現実(VR)環境上にデジタルツインとして現場の3次元環境、仮想ドローンを再現する。オペレーターはVRゴーグルを装着し、一人称視点(ドローン視点)と三人称視点(俯瞰<ふかん>視点)を切り替えながら、没入感のある遠隔操作や現場の調査ができる。

     同技術の実証試験を、福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)で実施した。ビル火災を想定したシナリオでは、3機の自律制御ドローンを用いた群協調飛行、衝突回避、対象ビル上空での旋回飛行を成功させた。さらに、クラウド上のAI(人工知能)を活用し、要救助者や不審者などの検知を実現した。警備用途の試験では、一人のオペレーターが複数ドローンを遠隔操作して現場調査を行い、安全かつ円滑な警備運用を実証した。

    複数ドローン協調運用の様子

    社会実装に期待

     今後は、本技術のさらなる高度化を進め、災害対応や警備など、緊急性・危険性の高い分野での実用化を目指す。これにより、オペレーターの安全を確保しつつ、ドローンの実用的な導入を促進し、社会での利活用を拡大することが期待される。

     この成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務において得られたものです。

    インダストリアルCPS研究センター
    フィールドロボティクス研究チーム
    研究チーム長

    神村 明哉

    KAMIMURA Akiya

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