変革につながるアイデアは、きっと研究の最前線にある。日本最大級の公的研究機関・産総研の公式ウェブマガジン。

セラミックス積層造形

セラミックス積層造形

2025/01/23

セラミックス積層造形 成形体作製後に脱脂・焼結

日刊工業新聞寄稿記事「技術で未来拓く」
    KeyPoint産総研では、将来の産業ニーズを見据えた目的基礎研究を通じて、革新的な技術シーズの創出に挑戦しています。
    こうした最先端の成果を、日刊工業新聞で連載しています。産総研マガジンでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
    ※本記事は、日刊工業新聞社の許諾を得て掲載しています。著作権は日刊工業新聞社に帰属します。

    熱衝撃に弱い

     3次元(3D)積層造形の技術は、従来の型成形や加工では困難とされる、複雑あるいは中空の形状品の製造を可能にする。この技術は、製品の形状設計における自由度の向上に加え、型不要による生産工程の短縮や機械加工で生じる材料の無駄を最小限に抑えられる。

     一般にセラミックスは難加工材料であるため、加工に時間とコストがかかる。しかし、3D積層造形技術を使って加工が容易になれば、航空宇宙や医療・生体分野向けにも、樹脂や金属に次ぐ材料としてセラミックスの利用を拡大できる。ただし、セラミックスは樹脂や金属に比べて軟化・溶融しにくく、熱衝撃に弱い。よって、樹脂や金属向けに開発された造形手法をセラミックス材料にそのまま適用するのは困難である。

    複雑形状を実現

     産業技術総合研究所(産総研)は、培ってきた造粒や脱脂、焼結などの各技術を3D積層造形技術と融合させて、セラミックス3D積層造形システムの基盤技術を開発している。本技術では、3D積層造形プロセスはもちろん、前工程である粉末調製プロセスも重要となる。ここでは、セラミックスを直接的に溶融・凝固させない代わりに、セラミックスと樹脂からなる混合粉末を用いている。3D積層造形システムで混合粉末から成形体を作製し、この成形体を焼成炉で加熱して樹脂を除去(脱脂)および焼結させる後工程を施すことで、セラミックスのみの焼結体が得られる方法を開発した。

     本技術によって得られた造形品の機械的強度などの物性値は、従来の成形法によって得られたものとほぼ同じである。本技術は、機械加工法では作製が困難な複雑・中空形状化をセラミックスで実現した。

    セラミックス製の複雑・中空形状の試作品の写真(熱交換器の小型モデル)

    自由度高い設計

     セラミックス3D積層造形システムは、耐久性に優れるなどのセラミックスの特長を生かし、複雑・中空形状を付与した工業炉用の熱交換器、半導体の製造装置向け部品の一体製造などへの適用が考えられる。また、自由度の高い設計による製品性能の向上や製品寿命の延長による省資源化、再生・再利用プロセスに必要な高い耐久性を持つ製品や部品の製造などを通して、サーキュラーエコノミー(循環経済)に貢献したい。

    マルチマテリアル研究部門
    セラミック機構部材グループ
    研究グループ長

    堀田 幹則

    HOTTA Mikinori

    堀田 幹則研究グループ長の写真

    この記事へのリアクション

    •  

    •  

    •  

    この記事をシェア

    • Xでシェア
    • facebookでシェア
    • LINEでシェア

    掲載記事・産総研との連携・紹介技術・研究成果などにご興味をお持ちの方へ

    産総研マガジンでご紹介している事例や成果、トピックスは、産総研で行われている研究や連携成果の一部です。
    掲載記事に関するお問い合わせのほか、産総研の研究内容・技術サポート・連携・コラボレーションなどに興味をお持ちの方は、
    お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

    国立研究開発法人産業技術総合研究所

    Copyright © National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)
    (Japan Corporate Number 7010005005425). All rights reserved.