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理想的な黒体へ【産総研公式X】

2022/02/01

COLUMN

理想的な黒体へ

\研究者にきいてみた!/

    サーモグラフィーの測定温度の基準には平面黒体装置を用いますが、従来は赤外線の放射率が不十分なものしかなく、精確な測定が困難でした。今回、黒色樹脂の表面構造を工夫して赤外線における理想的な黒体に極めて近い材料を作製し、周囲の影響を受けずに校正可能な平面黒体装置を開発しました。(2022/01/19プレスリリース

     平面黒体装置の開発を担当した計量標準総合センター 物理計測標準研究部門の雨宮 邦招研究グループ長は、2019年に発表し話題になった「究極の暗黒シート」(2019/04/24プレスリリース)の開発担当者でもあります。

    雨宮研究グループ長

    Q.今回の黒体材料は「究極の暗黒シート」と(ざっくり言って)どんな風に違うんでしょうか?

    A.まず性能が違います。

     暗黒シートは、熱赤外線で世界最高レベルの吸収率(=放射率>0.999)を誇ります。今回の黒体材料は、赤外線放射率 ~0.997。これは、暗黒シートほどではないけれど、従来の一般的な黒体塗装(0.96~0.98)よりずっと高い値です。

    究極の暗黒シートと今回の黒体材料の比較

    A.作り方も違います。

     暗黒シートの構造を作るには大がかりな設備(大型加速器)が必要。でも今回の黒体材料の構造なら、既存の微細加工技術の範囲で作れます。

     技術移転しやすい方法で高い放射率の黒体材料が作れることを実証した、という点が今回の発表のポイントです。

    微細加工の様子

    Q.暗黒シートはトゲトゲ状、今回はお椀状。なぜ構造が違う?

    A.暗黒シートは、トゲトゲの奥に赤外線や可視光を含むあらゆる光を多重反射させて閉じ込める構造。
    今回は、赤外線波長(7 μmから14 μm)にちょうどよいサイズの構造で、モスアイに似た屈折率の連続的な変化で反射を抑えます。

    究極の暗黒シートと今回の黒体材料の構造の比較

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