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お知らせ記事2024/03/14

修士卒研究職の新たな育成制度の開始について
-研究開発体制の強化に向けた産総研修士卒育成モデルを創設し、博士号取得にかかる費用を産総研が負担-

ポイント

  • 大学との連携を強化し、共同研究等と一体となった博士号取得により、高度な研究人材に育成
  • 採用する修士卒研究職全員について博士号取得を業務と位置付け、取得にかかる費用を産総研が負担
  • 育成責任者に加え、メンター制度を導入し、修士卒研究職の成長を全面的に支援

概要図

 

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)では、研究開発体制を強化するため、2023年秋以降、修士課程修了者を対象とした研究職(修士卒研究職)の採用を拡大してまいりました(2023年9月12日お知らせ すべての研究領域で修士卒研究職の採用を開始します)。

2024年度以降、体制強化の一環として修士卒研究職の高度な研究人材への育成を組織として進めます。具体的には、以下の取り組みを開始します。

 

1.大学との連携を強化し、共同研究等と一体となった博士号取得により、高度な研究人材に育成

社会課題解決及び産業競争力強化という産総研のミッションに貢献する高度な研究人材を育成するため、大学との連携を強化し、共同研究等を前提に博士課程に入学し、産総研の育成責任者及び大学の指導教官の指導のもと、入所後10年以内かつ通学開始後5年以内に産総研が実施する研究と連携する研究テーマについて博士号の取得を目指します。

2.採用する修士卒研究職全員について博士号取得を業務と位置付け、取得にかかる費用を産総研が負担

2024年度以降、博士号取得を業務と位置付けることにより、新たに入所する修士卒研究職全員が産総研の業務を行う中で博士号取得にかかる通学等を行うこととなります。また、博士号取得にかかる入学金、授業料、交通費などの費用は産総研が全額負担します。

3.育成責任者に加え、メンター制度を導入し、修士卒研究職の成長を全面的に支援

修士卒研究職の育成を担当する育成責任者に加えて、メンター制度を導入し、修士卒研究職の成長を様々な面で支援します。これは修士卒研究職がキャリア形成など研究に限らない広い課題について気軽に相談できる機会の形成を目的としており、メンターには若手研究職や大学の教員経験者などを活用します。

4.新制度の在籍者への適用

2024年度以降の入所者に加え、すでに産総研に在籍する修士卒研究職についても2024年度以降の入所者と同様の条件で新制度の適用を可能とします。

 

修士卒研究職の育成策を拡充する背景

産総研はミッションである「社会課題解決」と「産業競争力強化」を達成すべく、「第5期 産総研の経営方針」において、「第5期末までに産総研が中核となるナショナル・イノベーション・エコシステムのプロトタイプを構築すること」を宣言しています。また、産総研がナショナル・イノベーション・エコシステムの中核を担う機関としての機能を果たすためには、目的基礎研究のみならず、応用研究さらには社会実装研究を強力に推進する優秀な研究人材をこれまで以上に獲得、育成し、研究基盤を強化していく必要があります。

このような背景から、研究職の採用計画においては採用規模を年々拡大し、修士卒研究職を含め2022年度は約120名、2023年度は約150名を採用し、2024年度以降も採用を強化していきます。

一方で、日本の大学院博士課程の入学者は2003年度をピークに、長期的に減少傾向にあります。そのため、引き続き優秀な博士人材による研究基盤の維持・強化を行いつつ、新たな人材確保策として2023年秋以降、すべての研究領域で修士卒研究職の採用を開始いたしました。採用した修士卒研究職を産総研での研究に加えて博士号取得の過程を通じて大学との連携により自立的な研究人材に育成することで、研究開発体制の強化を進め、日本の高度な研究人材の育成に貢献してまいります。

これらの取り組みにより、世界に先駆けた社会課題の解決に向けて、産業界や社会、国との連携を深め、社会的・経済的価値につながるイノベーションの創出を目指します。

 

用語解説

育成責任者
配属先研究部署が設定する修士卒研究職の育成を主として担う者。入所から博士号取得まで育成計画を作成し、育成状況を確認しながら修士卒研究職に必要な支援を行う。[参照元へ戻る]
 

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本件問い合わせ先

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
DEI人事部 人材マネジメント室
E-mail:hrdc-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)