新燃岳現地調査
\研究者にきいてみた!/
2025年6月、7年ぶりに噴火した霧島山新燃岳。噴火数日後から産総研の研究者が現地に入りました。
火口から噴煙が上がり、火山灰が降りそそぐ中、現場でどんな調査をしているのか…?
地質調査総合センターの研究者に聞いてみました。
火山ガス調査のためドローンが出発するところ。
ドローンに30 mのロープで観測機材を吊り下げ、噴煙のすぐそばで火山ガスを採取します。これまでは小型飛行機などに乗り込んでガスを取りに行っていたため火山に近づくにも限界がありましたが、ドローンなら噴火中でも火山に近づくことができ、質のよいガスのサンプルを採取できます。一方で、ドローンで運ぶために観測機材を軽量化するなどの工夫も必要だったそう。
ドローンに吊り下げた観測機材には、こんなふうにセンサーなどがすき間なく配置されています。「こうして集めた火山ガスを分析することで、火山『内部』の温度が推定できるんです」と研究者の風早さん。それにより「噴火中の火山内部の構造が想定とは違っていたことがわかった」と話します。他の火山の噴火では、地下深くのマグマから直接高温の火山ガスが出てくることが多いそう。しかし、今回の噴火では火山ガスからわかる火山内部の温度が低かったといいます。つまり、火山内部に「温泉のような水たまり」があり、そこで冷やされてから火山ガスが出てきたことがわかったのです。
現地には火山灰を分析する研究者も。
噴煙の中から戻ってきたドローンに付いた火山灰や、葉っぱや車に積もった火山灰など、いろいろなところから集めて分析のためビニール袋に採取します。
さらに火山のまわり、10カ所以上の地点にしかけた“火山灰トラップ”(灰を集めるためのバケツ)からも数日から数週間ごとに灰を収集。つくばの研究室に持ち帰っては粒子の構成やその時間変化などを調べました。
噴火当初の火山灰は、粒子のほとんどが過去の噴火による溶岩が吹き飛ばされたものでした。ところが、噴火が続くにつれて新たに出てきたマグマに由来する物質が増えてきたそうです。
研究者の松本さんによると「マグマ由来の物質があるかどうかの判断には、火山灰の分析が重要です」。地下のマグマが上昇してきたのであれば、今後も噴火が続く可能性の検討につながります。
そのため、研究者たちが交代で何度も現地に足を運んで火山灰の収集→つくばでの分析作業を続け、約3カ月にわたって灰の粒子の変化を追い続けました。
昨年10月にはドローンでの調査を再び実施。引き続き火山活動の推移を予測するために観測・調査を続けていきます。
くわしい調査結果は地質調査総合センターのwebサイトへ。
冒頭の動画を含む火山の空撮映像は研究資料として公開しています。
https://doi.org/10.57765/2003410