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発表・掲載日:2001/07/09

高熱伝導窒化ケイ素セラミックスを開発

-窒化ケイ素として世界で最も高い熱伝導率を達成-


概要

 独立行政法人産業技術総合研究所シナジーマテリアル研究センター【センター長 神崎 修三】摺動材料チーム【チームリーダー 平尾喜代司】は、上智大学の研究グループ【グループリーダー:助教授 板谷清司】と共同で、窒化ケイ素セラミックスの高熱伝導化に取り組み、セラミックスを構成する結晶粒子内部の不純物酸素を極めて低い水準まで低下させることにより、等方的に150W/(mK)という高い熱伝導率を示す窒化ケイ素セラミッスを開発することに成功した。この値は、窒化ケイ素セラミッスの熱伝導として報告されている世界最高の数値であり、従来からICパッケージ用等の放熱材料として用いられていた高熱伝導窒化アルミニウムにほぼ匹敵する。さらに、窒化アルミニウムと比べて窒化ケイ素の強度と靱性は2倍以上である。このため、開発材料は小型化や軽量化が可能であり、優れた機械特性と高い熱伝導率を合わせ持つ放熱材料として幅広い用途が期待される。

 窒化ケイ素セラミックスは高い強度とねばり強さを合わせ持つ優れた構造用セラミックスとして知られており、ターボチャージャーなどの自動車部品、圧延ローラー、転がり軸受けなどの構造部材として用途が広がっている。これらの用途は窒化ケイ素セラミックスの持つ優れた機械的特性に着目したものである。一方、純粋な窒化ケイ素結晶は200W/(mK)を越える高い熱伝導率(金属アルミニウムに匹敵)を持つと予測されており、放熱材料として高い期待が寄せられている。独立行政法人産業技術総合研究所シナジーマテリアル研究センター(本年4月の独法化以前は経済産業省名古屋工業技術研究所シナジー研究グループ)では、経済産業省の大型国家プロジェクト「シナジーセラミックスの研究開発」において、窒化ケイ素粒子を一方向に配向させることにより配向方向で120W/(mK)を越える材料をすでに開発している。しかし、この配向材料は強度、靱性に優れるものの粒子の配向方向に垂直な方向での熱伝導率は60W/(mK)程度と低く、またプロセスが煩雑でコストが高くなるなど、放熱材料としての量産化を考えた場合課題を残していた。このため、当センターでは等方的に高熱伝導を発現する窒化ケイ素セラミックスの開発に取り組んできた。

 今回、シナジーマテリアル研究センター摺動材料チーム(チーム長 平尾喜代司)が上智大学板谷清司助教授の研究グループと共同で開発した高熱伝導窒化ケイ素セラミックスは、窒化ケイ素マグネシウム(MgSiN2)という窒化物を緻密化のための焼結助剤として用いることに特徴がある。この窒化物助剤を添加した混合粉末を1700から1900℃程度の温度で焼き固める。従来の窒化ケイ素セラミックスは、酸化物だけを焼結助剤として用いていたためセラミックスの結晶粒子内部に溶けこむ酸素量が多くなり、このことが熱伝導率を低下させていた。窒化物を焼結助剤の一部として用いることにより、結晶粒子内部の不純物酸素を極めて低い水準まで低下させることが可能であり、この結果、等方的に150W/(mK)という高い熱伝導率を示す窒化ケイ素セラミッスを開発することに成功した。この値は、窒化ケイ素セラミッスの熱伝導として報告されている世界最高の数値であり、従来からICパッケージ用の放熱材料として用いられていた高熱伝導窒化アルミニウムとほぼ同じである。一方、窒化ケイ素は窒化アルミニウムと比べて約2倍以上の強度と靱性を持つ。このため、小型化や軽量化が可能であり、新たに開発された窒化ケイ素セラミッスは優れた機械特性と高い熱伝導率を合わせ持つ放熱材料として幅広い用途が期待される。




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