体内に微生物を恒常的に保有して1つの生命システムを構築する「内部共生」という現象は生物界にひろく見られ、多種多様な生物の生理、生態、進化などに大きな影響を及ぼしている。受賞者は、さまざまな昆虫類における共生微生物との相互関係について、共生微生物の体内動態やその機能、共生によってもたらされる宿主昆虫の生理や生態への影響などを含む多角的なアプローチから探求し、昆虫の食べる植物の種類が共生微生物により規定されうること、害虫が農作物を加害できる能力を共生微生物が支配している場合があること、共生微生物の遺伝子が宿主昆虫ゲノムに取り込まれうることなど、従来の常識を覆す数多くの新知見を明らかにしてきた。
受賞者は、博士号取得後まもなく独自の研究グループを主宰し、ユニークかつ多様な生物現象に取り組み、より若手の研究者を惹きつけ的確に指導しながら、独創性の高い国際的研究を幅広く推進しており、今後の研究の更なる発展が期待される。
第4回(平成19年度)日本学術振興会賞受賞者(深津 武馬)[http://www.jsps.go.jp/jsps-prize/ichiran_4rd/21_fukatsu.html]
※日本学術振興会賞は、優れた研究を進めている若手研究者を見いだし、早い段階から顕彰してその研究意欲を高め、独創的、先駆的な研究を支援することにより、我が国の学術研究を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的に平成16年度に創設されました。授賞対象者は、人文・社会科学及び自然科学の全分野において、45歳未満で博士又は博士と同等以上の学術研究能力を有する者のうち、論文等の研究業績により学術上特に優れた成果をあげている研究者です。
日本学術振興会賞[http://www.jsps.go.jp/jsps-prize/index.html]
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