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2022/03/31

SOMPOホールディングスと産総研がRDP連携研究ラボを設立
-少子高齢化などに起因する社会課題の解決に向けて新たな一歩を踏み出す-

SOMPOホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区/グループCEO取締役代表執行役社長:櫻田 謙悟、以下「SOMPOホールディングス」)と国立研究開発法人 産業技術総合研究所(東京本部:東京都千代田区/理事長:石村 和彦、以下「産総研」)は、産総研情報・人間工学領域内にRDP連携研究ラボ※1を2022年4月1日に設立することに合意しました。これにより両者は、少子高齢化やニューノーマル※2への対応といった社会課題の解決に向けて強固な共同研究体制を構築し、ソリューションの創出にロードマップに基づいて取り組んでいきます。

 

1.目的・背景

自然災害の多発や激甚化、人口減少・少子高齢化の進展、さらに新型コロナウイルス感染症の影響など、世界は複雑で重層化した社会課題に直面しています。SOMPOホールディングスと産総研は、2021年6月9日にそれらの社会課題の解決を目指すために包括的な相互協力に関する協定を締結し、両者の強みを活かして、最初に介護業界における社会課題の解決から取り組むことに合意しました。

今回、SOMPOホールディングスと産総研は、その取組を具体的に推進するために、SOMPOホールディングス傘下の介護事業会社であるSOMPOケア株式会社(本社:東京都品川区/代表取締役社長:遠藤 健、以下「SOMPOケア」)を研究主体に加え、RDP連携研究ラボを設立することに合意し、介護分野の共同研究についてロードマップを作成しました。

SOMPOケアでの事業展開を踏まえ、研究の成果を介護領域でのRDPに組み入れ、他の介護事業者や隣接業界へ提供していきます。また、超高齢社会を取り巻く産業全体の持続可能性の向上に貢献し、より多くの高齢者を支えていくことを目指すと共に、健康寿命延伸などの社会課題に対しても、合わせてロードマップを作成して研究開発を進めていきます。

 

2.共同研究テーマ

(1)先行して実施する共同研究テーマ

厚生労働省が公表した第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数※3によると、2040年度には2019年度よりもさらに約69万人介護職員が必要になると推計されています。その一方、介護関連職種の有効求人倍率は全職種の平均と比べて数倍高い傾向が続き、介護関連人材の需給ギャップは大きな社会課題となっています。そこで、介護事業者を有するSOMPOホールディングスと介護に関連した多様な研究を展開する産総研の強みを活かし、高品質・高効率で高齢者、介護職員いずれも満足度が高い介護モデルと介護ビジネスに関わるエコシステムの構築に向けて、以下の共同研究テーマに取り組みます。

社会課題からバックキャストした共同研究テーマ(今後、さらに追加予定)

共同研究テーマの図

介護Tech※4の評価方法の開発と標準化

医療・福祉技術に対して海外で用いられている評価手法などを参考にしながら、介護事業者が施設に介護Techを導入する際の評価項目や意思決定の手順などを明確にします。具体的には、介護事業者における介護Tech導入の実態調査、評価フレームの設計、パイロットスタディによる有効性の検証などを行います。2023年度半ばに移動、排泄、見守りなどに関する介護Techの評価フレームの構築、 2024年度に他の介護Techに関する評価フレームの構築とICTを活用した評価ツールの実用化を目指します。

タイムスタディ※5の簡易化/介護記録自動化

介護職員の位置・場所を自動的に記録する屋内測位技術とセンサデータなどに基づく行動推定技術を組み合わせることで、スマートフォンやスマートウォッチを用いた省力化されたタイムスタディ手法と介護記録自動化システムを開発します。具体的には、2022年度に屋内測位モデルの開発、2023年度に行動推定技術の開発と組み込みを行い、2024年度にデータ集計・可視化も自動に行えるタイムスタディシステムの構築を目指します。また2024年度には、介護施設内のセンサ情報や被介護者の身体情報なども用いることで介護業務の自動記録システムの開発も目指します。

③ 介護品質の評価方法の開発と標準化

高齢者の自立の阻害やQOLの低下につながる転倒、発熱、誤嚥、脱水、褥瘡(床ずれ)、移動能力の低下、認知能力の低下といった事象の発生頻度・程度・リスクを測る尺度と共に、高齢者と介護職員双方の主観的な心理状態としての幸福感・満足度を測る尺度を開発することで、介護の品質評価につなげます。2022年度は転倒リスクと幸福感・満足度の評価方法などの開発に着手し、2024年度にそれらの確立を目指します。転倒以外の事象についても、順次、評価方法の開発に着手していきます。

④ 心身健康状態の評価・予測方法の開発

上述の転倒、発熱、誤嚥、脱水、褥瘡(床ずれ)といった事象の発生や移動能力、認知能力、幸福感・満足度といった状態の変化に対して、食事・栄養ケア、服薬・治療、イベント活動、社会参加、その他介護サービスや環境などの影響を定量化する方法の開発に取り組みます。さらに、それら事象の発生リスクの低減や状態の向上につながる介入方法の開発に取り組みます。2022年度は転倒リスクの評価・予測方法とその低減方法及び幸福感・満足度の評価・予測方法とその向上方法の開発に着手し、2024年度にそれらを確立すると共に他の介護事業者にも評価・予測ソリューションを提供することを目指します。転倒や満足度・幸福感以外の事象・状態についても、順次、評価・予測方法の開発に着手していきます。
 

(2)今後検討するテーマ

介護分野については、未来の在宅介護支援サービス、介護施設のさらなる品質向上と働き方改革の構想の策定とそれらにおける課題解決などに取り組む予定です。

健康寿命延伸分野については、疾病予防サービスや女性向けサービスなどについて、サービス提供を通してデータを取得・蓄積し、そのデータによりサービスを改良したり新規創出したりする仕組みを設計、構築、改良していきます。特に、サービス利用者の行動変容やサービス継続に効果的な介入方法に重点を置いて、ロードマップを作成した上で研究開発を行います。

共同研究により目指すアウトプット

共同研究により目指すアウトプットの図

 

3.RDP連携研究ラボについて

名称 SOMPO-産総研 RDP連携研究ラボ
場所 産総研 柏センター(千葉県柏市)
研究体制 連携研究ラボ長は、松田 秀康(SOMPOホールディングスから出向)
人員は、30名(予定)
メンバーは、人間工学、サービス工学、福祉工学、実験心理学、認知脳科学、生理学、ロボット工学、人工知能・機械学習、音響信号処理、表情計測などの専門性を有します。このほかに、SOMPOグループから17名が共同研究に参加する予定です。
その他 共同研究期間は2022年4月1日から6年間で、SOMPOホールディングスから産総研に毎年10億円規模の研究資金を拠出する予定です。ただし、2025年度以降の研究内容と研究資金については、2024年度中に見直しを含めた協議を行います。
 
 

用語の説明

※1.RDP連携研究ラボ
正式名称は、「SOMPO-産総研 RDP連携研究ラボ」。
RDPとは、「リアルデータプラットフォーム」の英語の頭文字をとった略称であり、SOMPOホールディングスが提唱するビジネスモデルを指す。RDPでは、保険・介護現場、製造、自動車走行、物流、災害など個人や企業の実社会での活動に関連して取得される膨大なデータ(リアルデータ)を統合・分析し、社会課題を解決する新たなソリューションの提供を目指す。[参照元へ戻る]
※2.ニューノーマル
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が主な原因で生活やビジネスの様式が従来から大きく変化し、その収束後も前の状態に戻ることがなく、新たな常態が定着することを指す。[参照元へ戻る]
※3.介護職員の必要数
厚生労働省(2021)第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323_00005.html より引用 [参照元へ戻る]
※4. 介護Tech
介護業務の効率化や被介護者の自立支援・QOL向上などを目的として用いられる介護を支援するためのテクノロジーや製品のこと。[参照元へ戻る]
※5. タイムスタディ
介護職員が、被介護者へのケアや他の業務の各々にどのくらいの時間を費やしているかを把握するための調査のこと。[参照元へ戻る]
 

本件問い合わせ先

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
広報部 報道室
TEL:029-862-6216 FAX:029-862-6212
E-mail:hodo-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)