産総研:ニュース

お知らせ記事2017/02/13

「日本ゼオン・サンアロー・産総研 CNT複合材料研究拠点」を設立
-いよいよ本格的に実用化が迫る単層CNT製品産業を加速-

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)は、産総研の技術を民間へ効率的に橋渡しするために、日本ゼオン株式会社【代表取締役社長 田中 公章】(以下「日本ゼオン」という)、サンアロー株式会社【代表取締役社長 時宗 裕二】(以下「サンアロー」という)と、"日本ゼオン・サンアロー・産総研 CNT複合材料研究拠点"(以下、「CNT複合材料研究拠点」という)を設立して研究を展開することで合意しました。

 産総研ではカーボンナノチューブ(CNT)関連技術を最大限に企業に活用していただくために、ナノ材料の安全性、評価技術、プロセス技術などの産総研のCNT関連の研究員が、CNT関連企業と「CNTアライアンス・コンソーシアム」を組んで技術相談・共同研究を行い、日本発のCNT産業創出を目指しています。

 CNT複合材料研究拠点は、その「CNTアライアンス・コンソーシアム」でのオープンプラットフォーム共同研究の第1号であり、日本ゼオン、サンアローが、産総研つくばセンターに関連研究員を出向させ、産総研の研究員と共に、オープンプラットフォームのCNT複合材料研究拠点を形成し、CNT樹脂・ゴム複合材料のマスターバッチ、成形体の技術営業、商品開発、二軸混練・射出成形などを用いた製造プロセス開発、研究開発を行い、 3年以内のCNT複合材料成形体の上市を目指します。なお、詳細は、2017年2月15~17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「nano tech 2017 第16回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」において紹介する予定です。

CNTアライアンス・コンソーシアムとCNT複合材料研究拠点概念図
図1 CNTアライアンス・コンソーシアムとCNT複合材料研究拠点概念図

CNTアライアンス・コンソーシアムの役割

 「CNTアライアンス・コンソーシアム」は、産総研が進めているイノベーションコンソーシアム型共同研究として、CNT研究に関するさまざまな企業が、オープンプラットフォームやクローズドプラットフォームで研究開発することが可能です。

 CNT関連事業者からのニーズが高い、CNT材料の安全性、評価技術、プロセス技術などの技術をもつ産総研の研究員約30名が参画し、一丸となって橋渡しに取り組みます。産総研のCNT技術の一層の見える化のため、相談窓口も一本化します。

  • 産総研のCNT技術を総括的に使用できます
  • CNT事業者の課題解決に最適な研究員体制で対応します
  • 事業者の課題などの変化や新規課題発生に、より柔軟に対応できます
  • オープンまたはクローズドプラットフォームを選択して研究開発することができます
CNTアライアンス・コンソーシアム概念図
図2 CNTアライアンス・コンソーシアム概念図

日本ゼオン・サンアロー・産総研CNT複合材料研究拠点について

 本CNT複合材料研究拠点は、CNTを用いた新しい複合材料を創製するとともに、特長を探索し新しい用途を提案します。製造チームは二軸混練、射出成形などの工業的プロセスを用いて、CNTゴム・樹脂各種マスターバッチや高耐熱性CNTシーリング材などの成形体の生産技術開発や製品開発に取り組みます。産総研と民間企業が一体となり、日本発のCNT産業を創出します。

CNT複合材料研究拠点での製造プロセスの流れの図
図3 CNT複合材料研究拠点での製造プロセスの流れ

用語の説明

◆カーボンナノチューブ(CNT)
炭素原子だけで構成される直径が0.4~50nm、長さがおよそ1~数10μmの一次元性のナノ炭素材料。その化学構造は、グラファイト層を丸めてつなぎ合わせたもので表され、層の数が1枚のものを単層CNT、複数のものを多層CNTと呼ぶ。[参照元へ戻る]