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お知らせ記事2025/10/27

産総研、G7及び豪州の国家計量標準機関と、量子技術の開発と普及の加速を支える測定技術の連携に関する覚書を締結

2025年10月15日、産業技術総合研究所(以下、「産総研」)は、G7各国及びオーストラリアの国家計量標準機関(NMI)とともに、量子技術の開発と普及の加速を支える測定技術の計量学的連携を強化するための覚書(MOU)を締結しました。

本覚書は、量子技術の予備標準化活動(将来の標準化を支援する取り組み)に関する協力の促進を目的としており、急速に発展する量子技術のイノベーションと産業応用を支える計測技術の整備と同等性の確保を、迅速かつ柔軟に進めるための国際的な枠組み「NMI-Q*」の形成に向けた第一歩となります。

この取り組みは、2025年6月にカナダで開催されたG7サミットにおいて各国首脳が量子技術の国際協力の必要性を強調した「量子の未来のためのカナナスキス共通ビジョン**」にも基づいています。署名式はフランス・パリで行われ、INRiM(イタリア国立計量研究所)、LNE(フランス国立計量標準研究所)、NIST(米国国立標準技術研究所)、NMIA(オーストラリア国立計量研究所)、NPL(英国国立物理学研究所)、NRC(カナダ国立研究機構)、PTB(ドイツ国立物理工学研究所)、NMIJ/AIST(産総研 計量標準総合センター)の8機関の代表者が参加しました。

本覚書に基づき、量子技術の性能評価手法やデータの整備、国際標準化に向けた戦略的な予備標準化活動の実施、産業界や学術機関との連携による実用化支援、研究者交流、共同ワークショップの開催などを通じて、量子技術の信頼性・安全性・相互運用性の確保を推進します。

産総研はこれまで、光格子時計(現在の「秒」の定義を超える精度を持つ極めて高精度な時計)や、量子効果を利用した電気量の高精度計測など、先端計測技術の高度化を通じて、量子計測分野の国際的な整合性の確保に貢献してきました。今回の協力体制の強化により、国内外の研究機関や産業界との連携をさらに深め、信頼性の高い測定技術とデータを共有することで、量子技術の社会実装と国際標準化を支えていきます。

参考
*NMI-Qホームページ

https://nmi-q.org/

**G7サミット関連声明:量子の未来のためのカナナスキス共通ビジョン 外務省ホームページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/pageit_000001_02025.html

署名式

署名式における臼田孝上級執行役員/計量標準総合センター長(左から4人目)

大皿のレプリカ

産総研からは締結機関にメートル条約150周年を記念した大皿のレプリカが贈られた

本件問い合わせ先

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
計量標準総合センター研究企画室
E-mail:nmij-liaison-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)