ニュース

お知らせ記事2022/03/17

2022年シーズン 東京ドームにおける感染予防および対策効果確認のための調査について

掲載日:2022/3/17
更新日:2022/4/11

概要

新型コロナウイルス感染による影響が続く中、安全にイベントなどを開催するために、さまざまな取り組みが続けられております。特に東京ドームのような大規模施設におけるイベントには、一度に多くの観客が集まることから入場者数、マスク着用の有無、入退場時の人の滞留の程度、応援方法の違いなどが感染予防の効果に影響します。これらの対策が適切な効果を発揮するためには、対策の実施状況の把握(例えば、人の滞留が生じていないか、マスクが着用されているか)が重要ですが、人の滞留の程度やマスク着用率などを人の目で定量的に把握することは困難です。

これまで、産業技術総合研究所(以下「産総研」という)では、さまざまなプロスポーツの球場、スタジアム、アリーナなどにおいて、観客・選手やスタッフの感染予防のための調査を進めてきました。

その知見を生かして、2022年のプロ野球の開幕に際して、読売新聞社、読売巨人軍、東京ドームと連携し、2021年に引き続き、東京ドーム内にカメラ、レーダー等を設置し、入場者間の平均距離、マスクの着用の有無、応援方法などの行動を把握、また、東京ドームに設置されているCO2濃度計測器のデータを活用し、場内のCO2濃度の変化などを評価することで、東京ドームが実施している対策の効果を評価してまいります。

産総研が蓄積してきた知識をもとに、東京ドームにおいて継続的に計測を実施することで、来場者がどのように行動し、場内のどこで人の滞留が生じているのか、各場所における密接、密集、密閉の程度とどのように関係するのかの分析や、観客のマスク着用率の時系列変化など、東京ドームが実施している対策の効果を把握します。さらに、継続的に調査を実施することで、試合展開や観客数、開催日、さらに気温や湿度等に応じた密状態や観客行動の違いを把握することが可能となります。

これらの結果から、東京ドーム内の密状態を把握できるようになれば、今後、より安全に大規模イベントを開催するための指針づくりに協力できると考えています。

なお、本調査は、新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボ*、地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門地圏化学研究グループ、情報・人間工学領域 人工知能研究センター社会知能研究チーム、エレクトロニクス製造領域 センシングシステム研究センター 広域モニタリング研究チームおよびエネルギー・環境領域 安全科学研究部門リスク評価戦略グループが連携して実施します。

*新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボ
2021年12月20日に設立された産総研の融合研究ラボ。5つの研究領域を横断的に融合した研究ラボで新型コロナウイルス感染リスクを総合的に計測・評価する研究を推進。
詳細は、新型コロナウイルス感染リスク計測評価研究ラボホームページを参照

 

調査概要

日時:2022年3月21日のオープン戦〜継続的に計測を実施
   計測試合日は本ページの最後に掲載しています。
場所:東京ドーム内

                
評価項目
調査内容
リアルタイムのマスク着用率の把握
拍手、万歳、ハイタッチなど10種類程度の行動の推定
ハンディカメラでの撮影およびリアルタイム解析
入場者間の平均距離などのソーシャルディスタンスの把握 レーザーレーダーによる計測および解析
観客の非意図的な声出しや応援状況などの把握 マイクロホンアレイによる計測および解析
スタジアム内の密の程度の評価および換気状況の把握 CO2濃度計測器による計測

観客席を撮影するカメラ画像は、個人が特定できない程度の解像度で取得し、個人の特定はいたしません。また、音響センサは、個々の音声ではなく喧騒の計測のために用い、個々の人の声についての音声認識や会話記録は行いません。なお、得られた画像や音声などの情報は、本研究用途以外に使用することはありません。調査についてご不明点がありましたら、下の問い合わせ先にご連絡ください。

調査予定日(随時追加します。)

      
試合
日程
カード
カメラ撮影
レーザーレーダー
マイクロホンアレイ
CO2測定
オープン戦 2022/3/21 巨人-楽天 実施 実施 - 実施
公式戦 2022/3/25 巨人-中日 実施 - - 実施
公式戦 2022/3/26 巨人-中日 実施 - - 実施
公式戦 2022/3/27 巨人-中日 実施 - - 実施
公式戦 - シーズン中全試合 実施 実施 - 実施

成果の発表方法

本調査をもととした研究成果は、読売新聞社、読売巨人軍、東京ドームと連携して、ホームページなどにて一般の人たちに分かりやすく報告します。 得られた知見は、今後の東京ドームの運営に役立てていきます。

また、詳細な研究成果については論文などで学術的な発表を行う可能性があります。 ホームページや論文などで研究成果を報告する際には個人が特定できないように加工したデータおよび統計情報を利用します。

 

お問い合わせ先

広報部報道室
Eメール:hodo-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)