産総研:ニュース

お知らせ記事2021/01/01

2021年 年頭ごあいさつ

年頭所感の石村理事長画像
 

あけましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

平素は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
年頭にあたり、まずは昨年より続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全世界的な流行により被害に遭われた皆様、また、これに伴う社会情勢の変化により損害を被っておられるすべての方に、心からお見舞い申し上げます。

昨年を振り返るにあたり、COVID-19の流行に伴う社会的混乱について、語らないわけにはまいりません。
COVID-19は、我々が築き上げてきた社会に大きな変化を強いました。
この感染症は、一個人の生命に与える脅威もさることながら、飛沫を通じて人から人へ感染するため、集団感染を警戒しなければなりません。感染拡大を抑止するためには、社会規模での制限が必要になりました。
都市をまたいだ移動をはじめとする出勤・外出の制限や、大規模イベントの延期・中止など、我々が当たり前に享受していた日常は「新しい日常」への移行を余儀なくされ、社会は今もなお、過渡期の混乱の只中にあります。まさに、未解決で喫緊の社会課題と言えるでしょう。

こうした状況下において策定した産総研の第5期中長期計画では、「社会課題の解決」を最重要のミッションとして位置づけています。
当然、産総研は、COVID-19の流行という社会課題にも総力を挙げて立ち向かっています。すでに、所内の幅広い研究リソースを結集し、感染症拡大の抑制と経済活動の活性化を両立するウィズ・コロナ社会の実現に向けて、さまざまな技術開発に取り組んでいるところです。

しかし、我々が直面する社会課題は、このほかにも、エネルギー・環境制約、少子高齢化、国土強靭化など、枚挙にいとまがありません。
このような、複雑化・重層化の一途を辿る社会課題は、産総研単独では解決することができません。サービスや製品を世の中に送り出す企業や、最先端の知を擁する大学など、さまざまな関係者とより深く価値観を共有して、一体となってオープンイノベーションのエコシステムを形成する必要があります。

そのためには、産総研がより魅力ある組織にならなくてはなりません。私は昨年10月に経営方針として、産総研が向上させるべき「3つの価値」を整理し、研究所内にむけて、その強化を呼びかけました。その3つとは、

  • 「社会課題からバックキャストした品質の高い研究テーマの設定」
  • 「総合研究所としてのシナジー効果の発揮」
  • 「研究開発の段階からの戦略的な国際標準化・規格化」

です。これらの方向性を強化していくことで、産総研がよりいっそう社会にとって価値ある魅力的な組織となり、産業界とも歩調を合わせて、日本全体のオープンイノベーションを加速することを狙っています。

産総研は2001年の発足直後より「社会の中で、社会のために」の理念のもと活動してまいりました。
発足20周年を迎える2021年からは、この理念からさらに一歩踏み込んで、「社会課題に答えが出せる研究所」としてさらなる存在感を示せるよう、役職員一同、努力してまいります。

最後に、皆様方のますますのご多幸をひとえに祈念いたしますとともに、今後とも産総研の活動にご協力、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。