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お知らせ記事2020/12/21

日本学士院会員の選定について

令和2年12月14日 (月)、産業技術総合研究所の金出 武雄(かなで たけお)名誉フェロー、吉野 彰(よしの あきら)フェロー 兼 エネルギー・環境領域 ゼロエミッション国際共同研究センター長および大塚 榮子(おおつか えいこ)名誉フェローが日本学士院会員に選定されました。

日本学士院は、学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関として、学術の発達に寄与するため必要な事業を行っており、日本学士院会員は、学術上功績顕著な科学者のうちから選定されます。

金出 武雄 名誉フェロー

金出 武雄 名誉フェローの主要な学術上の業績は次の通りです(日本学士院のホームページより)。

「金出 武雄氏はコンピュータービジョンと知能ロボット工学の先駆的研究を進め、その基礎理論と応用に多大な貢献をしました。特に、自動運転分野では1980年代半ばに自律陸上自動走行車の研究を始め、10年余の基礎研究の成果として1995年にアメリカ東部から西海岸まで約5000kmの98%をコンピュータービジョンによって走破するという自動運転研究史上における画期的成果を上げ、今日の自動運転の先駆けを作りました。また、コンピュータによる人の顔画像認識、ビデオ圧縮など動画像処理に使われる基本アルゴリズムLucas-Kanadeオプティカルフロー法理論、今日テレビ等で見られる「アイビジョン」に代表される多数カメラを用いた自由視点画像技術など、日常使われる多くの技術において顕著な業績をあげました。」

吉野 彰 フェロー 兼 エネルギー・環境領域 ゼロエミッション国際共同研究センター長

吉野 彰 フェロー 兼 エネルギー・環境領域 ゼロエミッション国際共同研究センター長の主要な学術上の業績は次の通りです(日本学士院のホームページより)。

「IT社会で使われるモバイル電子機器の電源として、高容量で小型・軽量の二次電池が不可欠であり、その実現が切望されてきました。吉野 彰氏は従来の鉛電池やニッケル水素電池などよりも、(1)小型化で軽く、(2)高い電圧をもち、しかも、(3)高い安全性を有するリチウムイオン電池を発明し、(1)携帯電話、スマートフォン、ラップトップPCなどの電源とすることによりモバイル-IT社会実現の貢献、(2)車載、太陽電池発電、風力発電などの蓄電システムとして使うことによる地球環境問題の解決への貢献、(3)約5兆円規模の新産業の創出、(4)電気化学、界面化学、高分子化学、カーボンケミストリー、セラミックケミストリー等の学問分野での科学技術の進歩への貢献など、社会に大きく貢献しました。」

大塚 榮子 名誉フェロー

大塚 榮子 名誉フェローの主要な学術上の業績は次の通りです(日本学士院のホームページより)。

「大塚 榮子氏は、核酸の化学合成技術を基盤とし、核酸ならびにタンパク質の構造と機能の解明において先駆的研究を進めました。例えば、がん遺伝子の全合成を達成し、がん遺伝子タンパク質の立体構造を世界に先駆けて解明しました。また、DNA損傷が発がんを誘発する分子機構においても重要な成果をあげました。 さらに、RNAの化学合成技術を開発し、転移RNAや触媒活性を有するRNAを合成し、それぞれの重要な機能を解明しました。また、天然のRNA の水酸基をメチル化した2'-O-メチルRNAを化学合成し、核酸分解酵素と併用することでRNAの配列特異的な切断技術を確立しました。この成果は現在の核酸医薬に結び付く重要な知見となりました。」

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