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ホーム > 研究成果検索 > 研究ハイライト スマートスタック技術により作製したⅢ-Ⅴ族// Siタンデム太陽電池で効率30%を達成
多接合セルを作製するための独自の接合技術「スマートスタック法」を用いて、入射する太陽エネルギーの30 %以上を出力電力に変換できる新しいInGaP/AlGaAs/Si 3 接合太陽電池を作製することに成功した。耐久性も高いこのGaAs/Si多接合太陽電池は、高効率で低コストの太陽光発電を実現するための技術として実用化が期待されている。
カーボニュートラル実現に向けて、自然エネルギーによる発電量はまだ足りていない。太陽光発電の普及のためには、さらなる低コスト化が必要とされている。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のPVチャレンジでも、太陽光発電のコスト目標が2030年までに7円/kWhと設定された。この目標を達成するために、GaAs セル(III-V族半導体太陽電池の一般的なタイプ)とSiの組み合わせが有望な候補として浮上している。これまで、表面活性化法による接合技術を用いてGaAs//Si系3接合太陽電池で30 %の効率を達成した報告があるが、量産性およびコストで課題があるとされていた。
開発したInGaP/AlGaAs/Si 3 接合太陽電池は、Pdナノ粒子を用いた接合技術を適用した独自の機械的積層法(スマートスタック法)により製造しており、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト(TOPCon)Siセルの導入および構造最適化により、30.8 %という高い発電効率を達成した。また、温度85 ℃、湿度85 %の過酷な条件下で1,000時間にわたる耐久性試験を行っても顕著な劣化はみられず、長期的な安定性も期待できる結果となった。
本研究で使用したセルの組み合わせは、通常の太陽光照射条件において、35 %の発電効率が達成可能とされている。GaAs/Si多接合セルの実用化に向け、スマートスタック法を用いて太陽光発電のさらなる効率向上と低コスト化に向けた研究開発を行う。
招聘研究員 牧田 紀久夫(まきた きくお)
ウェブ:https://www.gzr.aist.go.jp/teams/multijunction-pv-team/
上級主任研究員 水野 英範(みずの ひでのり)
ウェブ:https://www.aist.go.jp/fukushima/ja/unit/PVSAT.html