研究ハイライト ついに完成!東京都心部の3次元地質地盤図

地質調査総合センター
ついに完成!東京都心部の3次元地質地盤図
東京23区の地下の地質構造を立体的に表現できる次世代地質図
  • 地質情報研究部門中澤 努
  • 野々垣 進

掲載日:2021/05/21

東京都心部の地下地質構造を3Dで詳細に可視化

5万地点の調査データをもとに都心部の地下地質構造を詳細に可視化した。地層の分布形状解析から、これまで固い地盤とされていた場所にも軟らかい地層を発見した。首都東京の地震ハザードマップや都市インフラ整備などで利活用が見込める。

地下地質構造の3次元解析手法(2018年3月29日産総研プレス発表資料を一部改変)
 

地下の地質構造を明らかにすることは地震被害の低減や都市インフラ整備に役立つ

2011年の東日本大震災では、首都圏でも湾岸地域を中心に液状化被害が多数発生し、地震の揺れによる建物被害も広く確認されたことから、地震被害に大きく影響をおよぼす地下浅部の地質地盤特性に関心が集まっている。また、インフラ整備を効率的にすすめるうえでも地質地盤情報は重要である。しかし、都市部は開発が進んでおり地層を直接観察することは容易ではないため、地下の地層の正確な情報を得ることは難しい。東京都心部も、地下の地質構造の分布の詳細は不明であった。

 

多数のボーリング調査データを解析し、東京都心部の地下の地質構造を3次元で可視化

東京都から提供を受けた土木・建築工事のボーリング調査データと産総研独自のボーリング調査で地層の3次元形状を明らかにした。産総研のウェブサイト「都市域の地質地盤図」では、東京都心部の地下の地層の3次元的な広がりをパソコン画面上で立体図として、だれでも簡単に閲覧することができる。立体図以外にも、従来の2次元の地質図ではできなかった任意の箇所の地質断面図の表示も可能である。また、地質平面図では、興味のあるエリアを拡大して詳細に見ることができる。地下の地質地盤情報は、地震ハザード予測や都市インフラ整備などに活用できる。

 

首都圏主要部の3次元地下情報を整備

埼玉県南東部や千葉県中央部、神奈川県東部など、首都圏主要部をカバーする3次元地下地質情報を整備する予定である。分かりやすく利用しやすい地質情報を提供することで、都市の地震防災やインフラ整備に貢献していく。

 
 

本研究テーマに関するお問合せ先

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地質情報研究部門 情報地質研究グループ

主任研究員 野々垣 進(ののがき すすむ)

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