産総研理事長賞 FY2019 AIST PRESIDENT AWARD

産総研理事長賞2022

賞の概要

 産総研では2003年度(ホームページでの公表は2015年度から)より、職員の士気高揚を図るため、理事長賞表彰を毎年度実施しています。
 2022年度は以下のとおり受賞者を決定いたしました。

過去の受賞一覧

研究

プルシアンブルーを⽤いた環境浄化技術の開発とその製品化

受賞者

  • 川本 徹(ナノ材料研究部⾨)
  • 南 公隆(ナノ材料研究部⾨)
  • Parajuli Durga(ナノ材料研究部⾨)
  • 伯⽥ 幸也(ナノ材料研究部⾨)
  • ⾸藤雄⼤(ナノ材料研究部⾨)
  • ⽥中 寿(ナノ材料研究部⾨)
  • 保⾼ 徹⽣(地圏資源環境研究部⾨)
  • 髙橋 顕(ナノ材料研究部⾨)
  • ⾅⽥ 初穂(ナノ材料研究部⾨)

研究業績概要

被表彰者らは、有害物質等による環境汚染という社会課題に対してプルシアンブルーに着⽬し、構造類縁体を精密に作り分ける独⾃技術を活⽤した環境浄化技術の開発に戦略的に取り組んだ。これまでに企業、⼤学、公的研究機関と共同研究を実施し、「株式会社ナノブルー」を設⽴して実⽤化に結び付けた。社会ニーズに基づいて放射性セシウムおよびアンモニアを除去・回収する技術開発に的を絞り、プルシアンブルーに関する知⾒を活かした素材開発をコア技術として、除去プロセス開発、システム化、政府マニュアルの作成を推進した。「株式会社ナノブルー」を通じて技術の普及に取り組み、プルシアンブルーの受注を開始した。具体的な社会実装の実績として、産総研単独特許を実施許諾した企業が放射性セシウム吸着除去やアンモニア除去の⽤途でプルシアンブルーを製造・販売しており、今後、更なる社会実装への展開が期待される。

受賞者代表(川本 徹)(右)と石村理事長(左)の写真
受賞者代表(川本 徹)(右)

汎⽤的秘密計算技術の開発と社会実装の推進

受賞者

  • 花岡 悟⼀郎(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • 松⽥ 隆宏(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • 坂井 祐介(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • SCHULDT, Jacob(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • 勝⼜ 秀⼀(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • ATTRAPADUNG, Nuttapong(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • ⼤原 ⼀真(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • ⼭⽥ 翔太(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • 照屋 唯紀(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)

研究業績概要

被表彰者らは、機密情報を秘匿したまま統計分析や機械学習等のデータ処理に利⽤可能とする秘密計算技術に関し、その社会実装を推進するための汎⽤的秘密計算技術の研究開発において顕著な業績を挙げた。本研究では、⾼機能暗号に関する最先端の知⾒に基づき、データベース上の操作に対して汎⽤的に適⽤可能な⾼速秘密計算ツール群の開発に成功した。また、ニーズを持つ企業から実運⽤における要求を抽出して、実利⽤可能な技術の創出を⽬指した研究開発を⾏い、⺠間企業を通じた社会実装を進めた。情報セキュリティ・暗号分野のトップ国際会議に多数の成果が採録されるなど、国際的に⾼い評価を受けた。さらに、これらのアルゴリズムに基づき、⺠間企業等から依頼を受けて実利⽤を想定した秘密計算システムの開発を複数件⾏い、開発技術の汎⽤性の⾼さを⽰した。

受賞者代表(花岡 悟⼀郎)(右)と石村理事長(左)の写真

受賞者代表(花岡 悟⼀郎)(右)

⽔道管周囲の腐⾷性⼟壌評価のための⾼周波交流電気探査技術の社会実装

受賞者

  • 神宮司 元治(地圏資源環境研究部⾨)
  • ⼭⽥ 澄⼈(イノベーション推進本部)
  • 今井 ⽂⼀(スタートアップ推進・技術移転部)
  • 横⽥ 俊之(地圏資源環境研究部⾨)
  • 横地 俊弘(イノベーション推進本部)
  • 仲間 健⼀(ベンチャー開発・技術移転センター)

研究業績概要

被表彰者らは、電気的分極を起こしやすいポリビニルアルコール製ローラー電極に⾼周波数の電流を通電させ、⼀定間隔離して設置した受信点で電流を計測することにより、アスファルトやコンクリート路⾯上から地下の状態を⾮破壊で把握する「⾼周波交流電気探査技術」を開発し、埋設された⽔道管周囲の腐⾷性⼟壌調査に応⽤した。産総研で開発した基礎技術を知財化や⺠間企業への技術移転を⾏うと共に、実⽤機の開発を⽬指して共同研究を開始した。共同研究の成果として、共同出願による特許を申請し、実⽤機を完成させて社会実装を加速化させ、商業的な事業展開を開始した。更に、⽔道コンサル企業が管路の更新計画⽴案の業務を⾃治体等から獲得し、物理探査コンサル企業に腐⾷性⼟壌調査の業務発注を⾏い、⼟壌調査結果を元に更新計画を⽴案して、⾃治体に納品あるいは委託管理業務を⾏う仕組みを構築した。これらのビジネスモデルを通じて社会への普及を進めることは、社会課題である⽔道管路の更新問題の解決につながり、産総研が推進している「強靱な国⼟、防災への貢献」に資するものである。

受賞者代表(神宮司 元治)(右)と石村理事長(左)の写真

受賞者代表(神宮司 元治)(右)

運営・研究支援

産総研ビジョンに⾄るまでの『⾏動規範』の制定

受賞者

  • 内藤 皓太(企画本部)
  • 榊⽥ 創(法務・コンプライアンス部)
  • 宮川 歩夢(地質情報研究部⾨)
  • 飯⽥ 仁志(企画本部)
  • ⽊村 優太(企画本部)
  • ⼩原 春彦(執⾏役員)
  • 上原 夏⼦(企画本部)
  • ⽥崎 孝典(研究戦略企画部)
  • ⼩笠原 啓⼀(広報部)

受賞理由

被表彰者らは、「⾏動理念の共有」を⽬的に策定した産総研憲章と研究者⾏動規範を⼀つにまとめて「ビジョンに基づく⾏動規範」と位置付け、⾏動規範を策定した。また、コンプライアンス特別研修、理事⻑メッセージ、クレドカードの全職員配布、ポスター・イントラ特設サイトの制作など、⾏動規範の浸透を図った。「ビジョンに基づく⾏動規範」策定に際しては、多くの職員の声を反映するため、会議体での討議、所内パブリックコメント実施など、全所的な議論の展開に努めた。また⾏動規範の理解を深めるための解説書の作成、所内パブリックコメントへの回答、⾏動規範の英語版作成等を実施し、ダイバーシティ&インクルージョンにも配慮した。成果は、産総研に働く全ての者がビジョンに基づく様々なアクションをする上でのバイブルとなるものであり、産総研の価値向上に⼤きく貢献した。

       
受賞者代表(内藤 皓太)(右)と石村理事長(左)の写真
受賞者代表(内藤 皓太)

価値ベースにもとづく冠ラボの設置、および共同研究等における提供価値ベースへの移⾏に関する制度設計とその環境整備

受賞者

  • 宮本 健⼀(企業連携部)
  • ⼭⽥ 由佳(情報・⼈間⼯学領域)
  • 及川 隆信(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • 神徳 徹雄(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • ⽥沼 均(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • ⼤嶋 裕⼦(情報・⼈間⼯学領域)
  • 阪⼝ 健(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • 綾 信博(社会実装本部)
  • 磯⾕ 整(社会実装戦略部)
  • 荻⾕ 雅宏(社会実装戦略部)
  • ホアン ウェン(社会実装戦略部)
  • 原 優太(成果活⽤等⽀援法⼈設⽴準備室)
  • ⼤河原 規⽣(企業連携部)
  • 前⽥ 泰則(産学官契約部)
  • 栗原 利奈(産学官契約部)
  • 酒井 弘樹(経理部)
  • 浅野 朋広(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • ⼩島 功(情報・⼈間⼯学領域)
  • ⾼橋 孝⼀(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • 遠藤 博史(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • 脇⽥ 優仁(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • 錦⾒ 美貴⼦(情報・⼈間⼯学領域連携推進室)
  • 吉⽥ 祐司(社会実装戦略部)
  • 廣⽥ 崇(企業連携部)
  • 林 秀⼆(社会実装戦略部)
  • ⽔⾨ 潤治(社会実装戦略部)
  • 三輪 沙弥⾹(成果活⽤等⽀援法⼈設⽴準備室)
  • 清⽔ 卓也(企業連携部)
  • 柴⽥ 朋美(社会実装戦略部)
  • ⽊村 ⾹穂(産学官契約部)
  • 岡本 ⾠志(経理部)

受賞理由

被表彰者らは、令和2 年度から4 年度までに合計6 社の冠ラボを設置し、⺠間企業との社会実装を積極的に推進している。更に、これら冠ラボの設置の経験を踏まえて、⺠間企業との共同研究等において価値ベースへの移⾏に関する制度設計、規程類の改正、ガイドラインの整備、運⽤体制の構築を⾏った。従来の共同研究等では、直接経費と間接経費しか計上できなかったため、新たな経費区分として技術料を設ける⽅法を⾒出し、規程類等の整備・改正を⾏い、共同研究等の価値ベースでの契約に係るガイドラインとしてまとめ、業務フローを制定し、運⽤体制を整備した。これにより、産総研の価値の最⼤化に向けて重要な制度基盤の⼀つを整備した。

受賞者代表(宮本 健⼀)(右)の写真
受賞者代表(宮本 健⼀)(右)

クロスメディアを活⽤したショートムービーの制作およびキャンペーンの実施による産総研ファン層の獲得〜Twitter およびYouTube による戦略的な情報発信〜

受賞者

  • 荻原 直祐(広報部)
  • 富⽥ 陽⼦(広報部)
  • 鈴⽊ 康仁(広報部)
  • ⽯川 惠(広報部)
  • 岩尾 奈津実(広報部)
  • 河村 幸男(広報部)
  • ⽥髙 真理(広報部)
  • 阿部 優太(広報部)
  • ⻑⾕川 恵⼦(広報部)
  • 廣江 真夏⼦(広報部)
  • ⼭中 翔太(広報部)
  • 岩沼 英璃果(広報部)
  • ⻘⼭ 千穂(広報部)
  • 茶⾕ 綾⼦(広報部)
  • 唐橋 啓⼦(広報部)

受賞理由

被表彰者らは、産総研の活動に対する社会の認知と理解を広げることにより産総研の社会的価値の向上を図ることを第5 期のミッションとして掲げ、令和4 年度においては、春の科学技術週間および秋のつくばセンター⼀般公開のイベントの開催に合わせて、「研究の⽇常は、⾮⽇常だ。」をテーマとするキャンペーンを実施した。⽇々研究に奮闘する現場にカメラを持ち込んでドキュメンタリームービーを制作し、キャンペーン期間中に公式Twitter、YouTube で配信した。驚きとワクワクにあふれた研究の⾮⽇常的な空間、ひたむきに研究に打ち込む姿、研究現場の⽇常を魅⼒的に捉えたショートムービーの制作に務め、⾒ごたえのある映像美で訴求⼒を⾼めた。その結果、産総研の活動に興味を持ったTwitter フォロワー数が従来と⽐べて5,000 件以上急増し25,000 件以上に達した。また⼀般公開においてつくば駅に掲⽰したポスターでも、産総研の広報活動強化に対する認知と好感度向上を⽰す反応が多数あり、産総研の価値向上に貢献した。

受賞者代表(荻原 直祐)(右)の写真
受賞者代表(荻原 直祐)(右)

特別貢献

メディアを通した地質情報の広報・啓発活動 −産総研のプレゼンス向上への貢献−

受賞者

  • 宮下 由⾹⾥(地質調査総合センター連携推進室、活断層・⽕⼭研究部⾨)
  • ⾵早 康平(活断層・⽕⼭研究部⾨)
  • 渡辺 真⼈(地質情報研究部⾨)
  • 森⽥ 澄⼈(地質情報基盤センター)
  • 平林 恵理(地質情報基盤センター)
  • ⾼橋 雅紀(地質情報研究部⾨)
  • 川邉 禎久(活断層・⽕⼭研究部⾨)
  • 宍倉 正展(活断層・⽕⼭研究部⾨)

受賞理由

被表彰者らは、イベント出展、新聞・テレビ番組等のメディア取材対応等を通じて、研究成果を⼀般市⺠へ広く広報・啓発する活動を⾏った。メディア取材対応では、研究成果を正確にわかりやすく伝えること、防災関連情報はリスクに関してミスリードしないように留意すること等、丁寧に対応した。⽇本は多様な地形が形成され、地下⽔、温泉や地熱等の恵みを有する⼀⽅で、地震、⽕⼭噴⽕等の⾃然災害も多い。地質研究者はこれらの理解に必要な地質学の普及と意識啓発に腐⼼している。特に NHK の番組『ブラタモリ』の取材対応では、取材当初から視聴者が興味を持つように細⼼の注意と⼯夫をもって対応し、コンテンツの提供や解説、地質に関わる物語やアイデアを提供した。産総研の地質情報整備についてもわかりやすく紹介され、⼤きなインパクトを与えた。令和2 年から4 年にかけての3 年間で計11 回の番組制作に貢献し、地質学の普及、意識啓発とともに、地質研究に於ける「産総研」の知名度・プレゼンス向上に⼤きく貢献した。

受賞者代表(宮下 由⾹⾥)(右)の写真
受賞者(宮下 由⾹⾥)(右)