産総研理事長賞2021

産総研理事長賞 FY2019 AIST PRESIDENT AWARD

賞の概要

 産総研では2003年度(ホームページでの公表は2015年度から)より、職員の士気高揚を図るため、理事長賞表彰を毎年度実施しています。
 2021年度は以下のとおり受賞者を決定いたしました。

過去の受賞一覧

研究

首都圏の3次元地質地盤図の整備

受賞者

  • 中澤 努(地質情報研究部門)
  • 小松原 純子(地質情報研究部門)
  • 尾崎 正紀(地質情報研究部門)
  • 長 郁夫(地質情報研究部門)
  • 野々垣 進(地質情報研究部門)
  • 納谷 友規(地質情報研究部門)
  • 坂田 健太郎(地質情報研究部門)
  • 宮地 良典(地質情報研究部門)

研究業績概要

被表彰者らは、「3次元地質地盤図」という全く新しいスタイルの地質図を提案、作成した。3次元地質地盤図の最大の特徴は、ウェブを用いて地下の地質構造を3次元の立体図で視覚的に且つ容易に理解できる点にある。従来の地質図では特定の箇所の地質断面図しか示せなかったが、3次元地質地盤図では、利用者が見たい任意の箇所の地質断面図をウェブ上で描画・閲覧することを可能にした。被表彰者らは、産総研の詳細なボーリングコア解析による地質層序区分と、自治体の所有する数万地点分の土木・建築工事のボーリング調査データを用いることで、高解像度の地質情報整備を可能とした。令和3年5月に公開した東京都区部3次元地質地盤図のプレスリリースでは、大手新聞の他、土木・建築・不動産関係のウェブニュース、週刊誌等に20件以上紹介された。また、東京都等、自治体との間では都市開発、防災などを目的として具体的な連携が進められており、社会実装の観点からも産総研の価値向上に大きく貢献した。

受賞者代表(前田 哲彦)(右)と石村理事長(左)の写真
受賞者代表(中澤 努)(右)

なのセルロース工房によるナノセルロースのオープンイノベーションの推進

受賞者

  • 遠藤 貴士(機能化学研究部門)
  • 熊谷 明夫(機能化学研究部門)
  • 長谷 朝博(機能化学研究部門)
  • 井上 誠一(機能化学研究部門)
  • 榊原 圭太(機能化学研究部門)
  • 齋藤 靖子(機能化学研究部門)

研究業績概要

ナノセルロースの技術開発の加速には、用途や機能解析や複合化に適した様々なナノセルロースを市場に供給することが不可欠であるとの戦略のもと、被表彰者らは、ナノセルロースに関して「作る-知る-使う」のサイクルによる技術開発を推進した。開発した解析評価技術は、日本エネルギー学会奨励賞、紙パルプ技術協会賞および印刷朝陽会賞を受賞した。

「なのセルロース工房」には多数の企業等の研究者が来訪して被表彰者らと連携を密にし、試験、技術開発、製品化研究を加速した。「五感に響く技術開発」をコンセプトとして、木材だけでなく、柑橘果皮等の未利用植物原料から製造したナノセルロースの利活用技術を開発して、日用品、高発色材、食品、化粧品分野へも産学官連携で展開し、異分野企業間の技術融合を推進し、更にNEDOプロジェクトを核とした人材育成、産学官連携等の総合展開・セルロースナノファイバー先端開発者養成に係る特別講座の事務局として、全体プログラムの推進を主体的に運営した。なのセルロース工房に参画している地域企業との連携による具体的な製品事例として、柑橘の外皮を用いた保湿クリーム・泡ボディソープ、木材を利用したペンケースなどがあり、引き続き、様々な波及効果を念頭に市場開拓を進めている。

受賞者代表(秋山 陽久)(右)と石村理事長(左)の写真

受賞者代表(遠藤 貴士)(右)

運営・研究支援

産総研ビジョンの策定と浸透

受賞者

  • 宮川 歩夢(地質情報研究部門)
  • 伊藤 生子(総務企画部)
  • 大河原 規生(連携企画部)
  • 坂口 友子(連携企画部)
  • 澤田 有弘(機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター)
  • 鈴木 音羽(人事部)
  • 野村 健一(エレクトロニクス・製造領域)
  • 藤原 すみれ(生命工学領域)
  • 松尾 駿介(監査室)
  • 田崎 孝典(連携企画部)
  • 大岩 寛(サイバーフィジカルセキュリティ研究センター)
  • 梶川 宏明(工学計測標準研究部門)
  • 佐藤 秀美(法務・コンプライアンス部)
  • 清水 卓也(ベンチャー開発センター)
  • 長崎 麻貴子(広報部)
  • 林 直樹(法務・コンプライアンス部)
  • 堀 知行(環境創生研部門)
  • 宮下 東久(連携企画部)

受賞理由

被表彰者らは、令和2年度後半以降、全所説明会、アンケート、座談会、理事会等の会議体付議を経て産総研全所からの意見を糾合し、令和3年3月に産総研ビジョンの策定を進めた。ビジョンタイトルを策定すべく所内からのタイトル候補の公募、タイトル案への所内投票の実施、コピーライターによるブラッシュアップ、執行会議における議論を経て、ビジョンタイトル「ともに挑む。つぎを創る。」が決定された。また、被表彰者らはポスター掲示や所内の議論を展開するなど、ビジョンの浸透を図るとともに、可能な限り多くの職員等の声を反映したビジョンが策定されるよう全所説明会、アンケート、座談会などを企画・運営し、全所からの意見を糾合することで、組織、個人レベルともに、これまでの殻を破る挑戦が称賛される文化を全所で目指す上での模範となった。

ビジョンを「自分ごと」ととらえ、これからの産総研の価値向上を進めるため、産総研に集う一人一人が産総研ビジョンを胸に、自身が何をすべきかを考え、実行していく機会とすることで、産総研の価値向上の議論に大きく貢献した。

       
受賞者代表(橋本 卓也)(右)と石村理事長(左)の写真
受賞者代表(宮川 歩夢(左) 田崎 孝典(右))

現金出資制度の整備と出資実行までのプロセス構築

受賞者

  • 小池 英明(ベンチャー開発センター)
  • 清水 卓也(ベンチャー開発センター)
  • 重松 誠(ベンチャー開発センター)
  • 羽場 冬希(ベンチャー開発センター)
  • 河野 昭宏(ベンチャー開発センター)
  • 守山 速飛(ベンチャー開発センター)
  • 天沼 大河(ベンチャー開発センター)

受賞理由

被表彰者らは、国立研究開発法人にとって法人発ベンチャーへの資金供給という点において初の事例となる出資に関し、産総研発ベンチャーの自律的な成長の勢いを削がず、且つ、リスク低減を図るための出資額及び出資条件等の規範を明文化し、関係規程類の改正を行った。出資の決定は適正な審査を行う必要があるため、ベンチャー資金調達市場及び法務、会計等の外部有識者から成る出資委員会を構成した。また技術、業務上の運営リスク等のヒアリングを実施するなど、協調出資者と連携した出資相手方への調査(デューデリジェンス;DD)を行い、委員会審議を経て、適切な出資決定と出資実行に導いた。産総研がDD を行い、信用力を付与する意義は、ベンチャー企業や協調出資者に留まらず、審査委員からも高く評価された。被表彰者らは、産総研における現金出資の在り方を位置付けるとともに、産総研のスタートアップ・エコシステムにおける循環の一端に資する施策として大きく貢献した。

受賞者代表(前田 英司)(右)の写真
受賞者代表(小池 英明)(右)

かがくチップス 日本の骨格を描き出せ! ~地質図作成プロジェクト~ の制作

受賞者

  • 小林 隆司(企画本部)
  • 清水 善夫(企画本部)
  • 野田 篤(地質情報研究部門)
  • 鈴木 康仁(企画本部)
  • 助川 友之(企画本部)

受賞理由

被表彰者らは、社会題解解決に向けて研究開発に取り組む産総研の最新成果を一般市民に紹介し、公的機関としての研究活動の理解促進を図ることを目的として「かがくチップス」と題したシリーズ第一作目となる動画「日本の骨格を描き出せ!~地質図作成プロジェクト~」を、産総研公式YouTube チャンネルで広く公開した。本動画は、ウェブ用に制作されたわずか5分間の動画の中に必要な情報が盛り込まれており、ウェブ動画の手本となるクオリティの高さが評価されて「第62回科学技術映画祭 科学技術館館長賞(研究・技術開発部門)」を受賞した。科学技術映像祭は、優れた科学技術映像を選奨することで科学技術への関心を喚起し、社会一般の科学技術教養の向上に資することを目的としており、本動画は特に優れた作品として選定された。入選作品は科学技術館及び全国各都市の科学館等で公開されるなど、産総研の価値向上に貢献した。

受賞者代表(前田 英司)(右)の写真
受賞者代表(小林 隆司)(右)

特別貢献

新型コロナウイルス感染予防と社会経済活動の両立に向けた一連の研究開発と社会貢献

受賞者

  • 保高 徹生(地圏資源環境研究部門)
  • 大西 正輝(人工知能研究センター)
  • 篠原 直秀(安全科学研究部門)
  • 岩﨑 雄一(安全科学研究部門)
  • 亀卦川 広之(広報部)
  • 佐藤 浩昭(企画本部)
  • 内藤 航(安全科学研究部門)
  • 坂東 宜昭(人工知能研究センター)
  • 加茂 将史(安全科学研究部門)
  • 古川 祐光(センシングシステム研究センター)
  • 三宅 晃司(研究戦略企画部)
  • 山口 雄一(広報部)

受賞理由

被表彰者らは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、マスギャザリング環境における感染拡大を防止することの重要性に着目し、産総研の計測技術、リスク評価技術を有する研究者及び産総研外の研究者と連携研究を開始した。当初は、3密が生じやすい環境を対象に、実車両を用いた換気効果の計測を実施し、事業者の新型コロナウイルス対策の指針作成等に貢献した。人数制限が続いていた大規模イベント等における効果的な感染予防措置や制限緩和のため、マスク着用率や対策によるリスク削減効果等のエビデンスの集積、東京オリンピック期間中の国立競技場における省電力実時間CO2計測等の関連技術の社会実装に向けた研究を推進して技術実証を重ねた。その過程において、学術論文の公表、多数のテレビ報道、新聞報道、政府機関への情報提供等、インパクトのある情報を社会に向けて発信するとともに、民間企業等との連携により、共同研究や技術コンサルティングによって多くの研究資金を獲得し、産総研のプレゼンス向上に著しく貢献した。

受賞者代表(小川 宏高)(右)の写真
受賞者(保高 徹生)(右)

感染防護とオンライン診療設備を備えた移動型診療車の開発と新型コロナ感染症陽性患者の宿泊療養施設でのオンライン診断への貢献

受賞者

  • 三澤 雅樹(健康医工学研究部門)
  • 新田 尚隆(健康医工学研究部門)
  • 大山 英明(インダストリアルCPS研究センター)
  • 篠原 直秀(安全科学研究部門)
  • 栗原 昇(工学計測標準研究部門)
  • 高辻 利之(工学計測標準研究部門)
  • 鷲尾 利克(健康医工学研究部門)
  • 高田 尚樹(省エネルギー研究部門)
  • 神村 明哉(インダストリアルCPS研究センター)
  • 岩井 彩(工学計測標準研究部門)
  • 森岡 敏博(工学計測標準研究部門)

受賞理由

被表彰者らは、地域保健所、医療機関、医師会等にヒアリングによってニーズを把握し、それに基づいて、2020年日本医療研究開発機構(AMED)ウイルス等感染症対策技術開発事業で「遠隔診療機能を装備し感染防護対策されたエックス線診療車の開発」が採択されたことで、「モバイル型診療車」開発を開始した。コロナ禍で物資供給が滞るなか、開発立案と課題解決を迅速かつ的確に実施するため、産総研内外の工学および医学研究者と、分野を超えた融合的な研究体制を構築し、各要素技術の専門家を適所に配置することにより、高いレベルでの開発体制を整えた。2021年5月に、茨城県DXイノベーション推進事業に採択され、目的を共有する医療機関と産総研、大学及び企業が融合的に協力して実証研究を推進した。現行の医療提供体制における位置づけを確立するため、自治体行政担当課、地域保健所、医師会等と調整し、軽症者宿泊療養施設で、陽性患者のオンライン診断を開始するなど、コロナ感染拡大期に大きく貢献した。

受賞者代表(小川 宏高)(右)の写真
受賞者(三澤 雅樹)(右)

新型コロナウィルスワクチン「職域接種」の実施

受賞者

  • 鬼澤 真奈美(人事部)
  • 五十嵐 和子(人事部)
  • 井川 真理子(人事部)
  • 永川 操(人事部)
  • 土原 美香(人事部)
  • 平 紀子(人事部)
  • 腰越 和香(人事部)
  • 岩瀨 容子(人事部)
  • 柳堀 昭(人事部)
  • 須貝 久子(人事部)
  • 正田 暢(人事部)
  • 大好 真弓(人事部)
  • 本田 美香(人事部)
  • 秋山 ゆかり(人事部)
  • 飯田 静江(人事部)
  • 保坂 美雪(人事部)
  • 木村 さゆり(人事部)
  • 榊原 修(人事部)
  • 蛯原 和雄(人事部)

受賞理由

令和3年6月下旬から、コロナウィルスワクチン接種が始まる中、被表彰者らは産総研のワクチン接種の加速化のため、令和3年7月から11月にかけて、ワクチン接種を希望するつくばセンター等の職員とその家族、並びに産総研に従事するエッセンシャルワーカー、農研機構の職員を含め、総勢1,192名に対し、延べ2,378回に及ぶワクチン接種を実施し、接種機会を十分に確保したことにより、地域へ大きく貢献した。職域接種の実施にあたっては、診療所スタッフ(医師、看護師、薬剤師)を中心に各日約20名の協力体制により、円滑な運営のもと、職員等への接種の加速に大きく貢献した。また、接種希望者の把握のため予約システムを構築するとともに、キャンセルした者や随時希望者への柔軟な対応により多数の接種機会を確保した。更に、ワクチンの無駄を生じさせないための当日キャンセル者への対応、冷凍庫の非常用電源対応、監視カメラの設置、ワクチンへの異物混入の有無の確認等、常に緊張感をもって慎重に対応し適切な管理に努めた。

受賞者代表(小川 宏高)(右)の写真
受賞者(鬼澤 真奈美)(右)