産総研理事長賞 FY2019 AIST PRESIDENT AWARD

産総研理事長賞2020

賞の概要

 産総研では2003年度(ホームページでの公表は2015年度から)より、職員の士気高揚を図るため、理事長賞表彰を毎年度実施しています。
 2020年度は以下のとおり受賞者を決定いたしました。

過去の受賞一覧

研究

ゼロエミッションタウンを実現する水素エネルギーシステムの開発と実証

受賞者

  • 前田 哲彦
  • 五舛目 清剛
  • 野津 剛
  • 瀬川 裕太
  • 遠藤 成輝
  • 沼田 茂生
  • 下田 英介

研究業績概要

被表彰者らは、企業との共同研究により、産総研の水素吸蔵合金に関する技術や再生可能エネルギーからの水素製造技術とBEMS(ビルエネルギーマネージメントシステム)技術を組み合わせることで、再生可能エネルギーを最大限に利用し、BCP(事業継続計画)にも対応可能な、ビル用の水素エネルギーシステムの開発を行っている。従来、高温、高圧を必要とする合金系について、1MPa、80℃程度の条件で再現性良く活性化できることを発見し、低コストの水素貯蔵装置を開発した。この合金系は消防法危険物に非該当であり、都市での大量貯蔵を可能にした。開発した合金を用いた実用的な水素貯蔵装置などをFREAに設置して実証研究を開始するとともに、冠ラボを設立して、積極的な実証研究にも貢献している。これらの成果の結果、民間企業においてシステムを本格導入し、数年内にさらに実建物に実装される予定である。

受賞者代表(前田 哲彦)(右)と石村理事長(左)の写真
受賞者代表(前田 哲彦)(右)

接着接合に関する評価技術開発、国際標準化、橋渡しの一体的推進

受賞者

  • 秋山 陽久
  • 堀内 伸
  • 寺崎 正
  • 藤尾 侑輝
  • 伊藤 祥太郎
  • 三浦 俊明
  • 遠山 暢之
  • 佐藤 正健
  • 佐藤 千明
  • 田嶌 一樹
  • 島本 一正
  • 赤池 幸紀
  • 下位 幸弘
  • 森田 裕史
  • 永井 英幹
  • 島田 悟

研究業績概要

自動車をはじめとする輸送機器からのCO2排出量を削減するため、マルチマテリアル化による軽量化を通じた燃費改善の努力が進められている。その際、鉄とアルミニウム、アルミニウムとCFRPといった異種材料を接合する必要があり、溶接に代わる接合法として、接着剤を用いた接合への期待が高まっている。一方、接着接合は人命に関わる構造材への単独での適用実績がなく、強度や耐久性等の信頼性が十分でないため、適用範囲が限定されていた。

被表彰者らは、領域を越えた横断組織として設立した接着・界面現象研究ラボを中心に接着接合の信頼性向上につながる評価技術の開発を進め、国際標準化にも取り組んだ。さらに、産総研コンソーシアムやコンソーシアム型共同研究を設立し、企業への橋渡しにも貢献した。その結果、今般、評価技術に関する複数の研究成果がまとまり、国際標準化や企業への橋渡しも軌道に乗せることができた。

受賞者代表(秋山 陽久)(右)と石村理事長(左)の写真

受賞者代表(秋山 陽久)(右)

運営・研究支援

産総研内の新型コロナウイルス感染症予防対策の推進

受賞者

  • 橋本 卓也
  • 太田 祥子
  • 橋本 陽子
  • 内田 茜
  • 石塚 拓也
  • 廣江 真夏子
  • 山口 雄一
  • 須貝 久子
  • 池田 勉
  • 山川 弘
  • 鈴木 亜有実
  • 関根 英二
  • 大竹 雄一郎
  • 木村 瑞希
  • 正田 暢

受賞理由

令和2年1月以降、新型コロナウイルス感染は世界的に拡大し、日本国内にも大きな影響を与えている。

被表彰者らは、総務本部長の指揮の下、各地域センター・つくば事業所業務部室及び総括産業医と連携し、感染拡大の初期に手指消毒薬の設置や、マスク着用・手洗いの励行及び喚起に努め、イベントの開催や国内・海外出張の制限、見学施設の閉館などの周知にも尽力した。さらに、感染者等の発生状況等を確実に把握するための所内連絡体制を構築し、感染者発生防止に貢献した。所内イントラにポータルサイトを開設して随時最新情報を更新すると同時に、英語による情報発信も推進して、外国人職員への的確な周知に努めた。人事部と連携して勤務制限、勤務計画策定を実施し、出勤率を弾力的に運用することで、業務に与えた影響の回復にも貢献した。

       
受賞者代表(橋本 卓也)(右)と石村理事長(左)の写真
受賞者代表(橋本 卓也)(右)

地域イノベーションの推進に向けた産学官連携の拡充・強化の取り組み

受賞者

  • 前田 英司
  • 西村 武司
  • 大庭 英樹
  • 野中 一洋
  • 上杉 文彦
  • 大久保 玲子
  • 山田 涼子
  • 高木 幸代
  • 村田 賢彦
  • 前川 美菜
  • 緒方 孝範
  • 坂本 満
  • 石川 隆稔
  • 中島 美奈子
  • 清水 惠子
  • 平井 寿敏

受賞理由

被表彰者らは、地域の企業経営者、技術者研究者に最新の技術情報や研究成果事例に関する情報提供を行う場並びに公設試等の研究者及びコーディネータ等との情報交換の場としての活用を目的とする「九州・沖縄産業技術オープンイノベーションデー」を、第10回となる令和2年度はオンラインで開催した。その結果、参加申込者が例年を大きく上回り、遠方からの参加者も増加した。令和2年度から、産総研コンソーシアム「人と技術の会」として、産総研シーズの紹介や、公設試等との情報交換の場を提供することで、企業が自らの課題解決の糸口を見出すことを目的とした活動を開始した。12月には「令和2年度出前シンポジウムin熊本」を開催し、地元工業連合会等と連携して、地域企業等に向けた産総研の技術シーズの情報発信等を実施した。これらにより、企業経営者、技術者・研究者や中小企業支援機関に対して、新規事業の創出に繋げる「橋渡し」に貢献した。

受賞者代表(前田 英司)(右)の写真
受賞者代表(前田 英司)(右)

特別貢献

誰もが利用できるオープンイノベーションプラットフォームABCIの運用

受賞者

  • 小川 宏高
  • 谷村 勇輔
  • 山本 智実
  • 萩島 功一
  • 田中 良夫
  • 高野 了成
  • 滝澤 真一朗
  • 正木 篤
  • 藤澤 克樹
  • 中田 秀基

受賞理由

被表彰者らは、人工知能(AI)のアルゴリズムと、実社会から取得される大量のビッグデータをつなぎ、それら2つを用いて膨大な学習計算を行う ABCI(AI橋渡しクラウド、AI Bridging Cloud Infrastructure)を構築した。複数の国際的なベンチマークの結果により、ABCIが世界トップレベルのAI計算処理性能とデータ処理性能を備えるとともに、省エネ性能にも極めて優れていることを示した。また、利用者数と利用量を増加させながら2年半にわたってABCIの運用を行い、産総研内外におけるAI技術の研究開発・実証基盤として数多くの世界トップレベルの成果創出に貢献したのみならず、企業との共同研究につなげるためのプラットフォームとしても機能し、民間企業との冠ラボにおける成果創出にも寄与した。冠ラボを始めとする共同研究を含めたABCIの利用実績では、令和元年度が256件(うち外部利用141件)、令和2年度は1月時点で355件(うち外部利用206件)となっており、利用収入も堅調に増加している。

受賞者代表(小川 宏高)(右)の写真
受賞者(小川 宏高)(右)