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産総研論文賞2019

産総研論文賞2018のタイトルバナー

賞の概要

産総研研究者は、科学技術におけるイノベーション創出の先導者として、自ら向上心と使命感を持って研究を遂行し、質の高い論文を世界に向けて発信していきます。そこで、産総研として誇れる高水準の論文を発表した研究者に対して、2014年度より毎年「産総研論文賞」として顕彰しております。

※受賞者の所属は受賞時点のものです。

過去の受賞一覧

受賞論文

Performances and emission characteristics of NH3-air and NH3-CH4-air combustion gas-turbine power generations

Osamu Kurata, Norihiko Iki, Takayuki Matsunuma, Takahiro Inoue, Taku Tsujimura, Hirohide Furutani, Hideaki Kobayashi and Akihiro Hayakawa
Proceedings of the Combustion Institute, 2017, 36 (3), 3351-3359

受賞者

  • 倉田 修(省エネルギー研究部門)
  • 壹岐 典彦(再生可能エネルギー研究センター)
  • 松沼 孝幸(省エネルギー研究部門)
  • 井上 貴博(省エネルギー研究部門)
  • 辻村 拓(再生可能エネルギー研究センター)
  • 古谷 博秀(再生可能エネルギー研究センター)

選出理由

論文は、産総研つくばおよびFREAにおいて行ったアンモニア―空気ガスタービン発電の研究に関するもので、ノズル燃焼器の改良などにより、燃焼助剤や前処理を使わずに燃焼効率96%かつ低NOx排出(10ppm以下)を達成したことを報告している。本論文は、内閣府SIP「エネルギーキャリア」の中で研究を進めてきたアンモニア燃焼の成果をまとめたものであり、SIPの代表的な成果と認められている。また、アンモニアを水素キャリアとして政策的に位置付ける上で大きな役割を果たしている。本成果をベースに特許出願、国内の民間企業への橋渡し、国際連携の拡大にも繋げており、目的基礎から橋渡し後期へ展開したモデルケースとなっている。

受賞者代表(倉田 修)(右)の写真
受賞者代表(倉田 修)(右)

LiCoO2 Degradation Behavior in the High-Voltage Phase Transition Region and Improved Reversibility with Surface Coating

Akira Yano, Masahiro Shikano, Atsushi Ueda, Hikari Sakaebe and Zempachi Ogumi
Journal of the Electrochemical Society, 2017, 164 (1), A6116-A6122

受賞者

  • 矢野 亮(電池技術研究部門)
  • 鹿野 昌弘(電池技術研究部門)
  • 上田 篤司(電池技術研究部門)
  • 栄部 比夏里(電池技術研究部門)

選出理由

本論文は、リチウムイオン電池 (LIB)の性能低下につながる電極劣化メカニズムの主要因を、産総研独自の技術により科学的に解明した。さらに、産総研で独自に開発した極薄Al酸化物均一被覆技術により重量エネルギー密度を低下させない劣化の抑制方法も提案、実証している。本論文は、2017年に電気化学では最も権威のある米国電気化学会の学会誌に掲載され、その被引用数は高い。極薄Al酸化物均一被覆技術は電子メーカーに技術移転され、社内で研究が継続されている。また、電極/電解液界面における科学的な解析技術も、蓄電池に関する国家プロジェクトの参画企業へ横展開しているなど、産業界の高いニーズに応えていくことが期待される。
受賞者代理(右)の写真
受賞者代理(エネルギー・環境領域研究戦略部 研究企画室)(右)

Can Spatiotemporal 3D CNNs Retrace the History of 2D CNNs and ImageNet?

Kensho Hara, Hirokatsu Kataoka and Yutaka Satoh
Proceedings of the IEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, 2018, 6546-6555

受賞者

  • 原 健翔(知能システム研究部門)
  • 片岡 裕雄(知能システム研究部門)
  • 佐藤 雄隆(知能システム研究部門)

選出理由

本論文は、深層学習を用いて、動画から高い精度で「動き」を認識することが可能であることを示した。例えば、人がボールを投げている動画に対して、「人がボールを投げている」と正しく認識できる。手法の提案にとどまらず、実験に基づいた定量的な成果も得ている。これは、産総研保有の高性能計算インフラABCIを活用することによってなし得た研究成果であり、これまで世界で誰も成功していなかった「動画像認識のための汎用認識モデル」の獲得に成功したことを示唆している。本研究成果は、コンピュータビジョン分野の世界トップ国際会議であるIEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR)に採択され、会議後に多数引用されている。また、世界最大の開発ネットワークGitHubの動画像認識分野において世界1位のお気に入り数1899を獲得するなど、極めて大きな注目を集めている。また、自動車系企業との共同研究も進めており、今後は、より幅広い産業分野への水平展開が期待される。

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受賞者代表(原 健翔)(右)

Historical Pigment Exhibiting Ammonia Gas Capture beyond Standard Adsorbents with Adsorption Sites of Two Kinds

Akira Takahashi, Hisashi Tanaka, Durga Parajuli, Tohru Nakamura, Kimitaka Minami, Yutaka Sugiyama, Yukiya Hakuta, Shin-ichi Ohkoshi, and Tohru Kawamoto
Journal of the American Chemical Society, 2016, 138 (20), 6376-6379

受賞者

  • 髙橋 顕(ナノ材料研究部門)
  • 田中 寿(ナノ材料研究部門)
  • Durga Parajuli(ナノ材料研究部門)
  • 中村 徹(ナノ材料研究部門)
  • 南 公隆(ナノ材料研究部門)
  • 杉山 泰(ナノ材料研究部門)
  • 伯田 幸也(ナノ材料研究部門)
  • 川本 徹(ナノ材料研究部門)

選出理由

本論文は18世紀初めから顔料として使用されていたプルシアンブルーが、実は高いアンモニア吸着能を有していたことを明らかにしたものである。本論文発表から3年が経過した現在でも、プルシアンブルーとその類似体は、アンモニア吸着容量としてチャンピオンデータを示す。本論文に関連して、特許を5件出願し、うち1件は権利化済みである。また、論文発表後、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構の「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)」を獲得し、実際の養豚場での悪臭除去、豚の成育効率向上を実現した。2017年には第16回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2017)においてプロジェクト賞(ライフテクノロジー部門)を受賞した。さらに、本研究論文の成果は、全国紙を含む新聞15紙に掲載され、報道テレビ番組でも取り上げられた。

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受賞者代表(川本 徹)(右)

Proton Tautomerism for Strong Polarization Switching

Sachio Horiuchi, Kensuke Kobayashi, Reiji Kumai and Shoji Ishibashi
Nature Communications, 2017, 8, 14426

受賞者

  • 堀内 佐智雄(電子光技術研究部門)
  • 石橋 章司(機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター)

選出理由

本論文は、いくつかの有機材料が、無機の強誘電体であるSrBi2Ta2O9 やBaTiO3の分極性能をしのぐ自発分極の数値を示すことを発見した。有機の強誘電体は、真空や高温プロセスを必要とせずに低コストでデバイスを作製できる印刷プロセスに適しており、この成果は圧電センサや不揮発性メモリ等のデバイスを印刷プロセスで作製する新しい応用に道を開くものとして期待できる。また、本論文では有機強誘電体の特性を理論計算により予測できることも示しており、材料開発の新しい手段として期待されているマテリアルインフォマティクスの発展にも貢献している。このような基礎と応用の両面で有用な成果を報告していることから、有機材料分野での本論文への注目度は高い。

受賞者代表(堀内 佐智雄)(右)の写真
受賞者代表(堀内 佐智雄)(右)

Age of Izu–Bonin–Mariana arc basement

Osamu Ishizuka, Rosemary Hickey-Vargas, Richard J. Arculus, Gene M. Yogodzinski, Ivan P. Savov, Yuki Kusano, Anders McCarthy, Philipp A. Brandl and Masafumi Sudo
Earth and Planetary Science Letters, 2018, 481, 80-90

受賞者

  • 石塚 治(活断層·火山研究部門)
  • 草野 有紀(活断層·火山研究部門)

選出理由

本論文は、世界23ヶ国が参画する国際深海科学掘削計画(IODP)の研究プロジェクトの成果の1つで、5ヶ国の研究者の共著によるものである。調査航海では海洋地殻を構成する玄武岩溶岩の回収に世界で始めて成功し、その採取試料の分析により、この試料の採取地点が太平洋プレート沈み込み開始直後に形成された海洋地殻であることを明らかにした。採収試料の噴出年代の特定には、産総研で改良、開発された火山岩年代測定装置 (Ar/Ar法) が用いられた。また、マグマの成因プロセスを火山岩の岩石化学的特徴から検討した。本成果は、島弧における沈み込み開始モデルの改訂の必要性を示しており、画期的な成果である。筆頭著者の石塚氏は2019年度日本火山学会優秀学術賞を受賞しており、その受賞理由に本論文が取り上げられている。本研究成果は、今後、日本列島に代表される弧状列島の地球科学プロセスの解明が進展するための重要ベースになると期待される。

受賞者代表(草野 有紀)(右)の写真
受賞者代表(草野 有紀)(右)

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国立研究開発法人産業技術総合研究所