規格の概要
ISO 24505-2:2025 Ergonomics — Accessible design Part 2: Colour combinations for people with colour deficiency and low vision
人間工学 —アクセシブルデザイン -第2部:色弱及びロービジョンのための色の組合せ 
本規格は、視覚的な標識や表示物において複数の色を組合せて用いる際、色弱やロービジョンの人々にも見やすく、識別しやすい色の組合せを作成するための方法を規定するものである。この方法はISO 24505-1で規定された手法に基づいているが、本規格では色の識別に困難がある人向けの色の組合せと、その基になる基本色に関するデータに焦点を当てている。
本規格では、色弱の典型例として1型2色覚(赤色受容体欠落)及び2型2色覚(緑色受容体欠落)を対象としている。3型2色覚(青色受容体欠落)や異常3色覚(受容体応答異常)について、学術的に対象者が不在または十分なデータがないため対象外としている。「ロービジョン」とは、光学的な屈折矯正(眼鏡、コンタクト等)では改善されない極度の視力低下や視野の制限(中心視のみ、または周辺視のみ)を伴うさまざまな眼疾患の状態を含む。本規格では、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、緑内障、白内障などの眼疾患によって引き起こされるロービジョンを対象としている。ただし、同様に重度の視力低下を伴う「弱視(amblyopia)」については、医学的に異なる分類とされるため対象外である。
本規格は基本的に反射光または物体色モードの色を対象としているが、自己発光モード(ディスプレー表示など)であっても、その色度座標を適切に物体色モードへ変換することで適用可能である。なお、安全に関わる用途のための色の選定及び組合せについては、ISO 3864-1:2011に準拠するものとする。
本規格ではISO24505-1と同様に、色弱及びロービジョンの基本色領域のデータに基づいて➀非常に識別しやすい色の組合せ、➁識別しやすい色の組合せ、③やや識別しやすい色の組合せの3段階で配色の見やすさを表しており、それぞれの色のカテゴリーに属する色をマンセル表色系上から選んで配色する。
 
メンバー
伊藤 納奈(産総研 人間情報インタラクション研究部門 副研究部門長)
佐川 賢(産総研 名誉リサーチャー)
 
 
 
タイトル:Span of color similarity of low vision
著者:Itoh N., Sagawa K., Okamoto A., Mitani S., Yoshida T.
掲載誌:Proceedings of the 9th International Conference on Low Vision (Vision2008), 2008
タイトル:Span of color similarity of low vision
著者:ITOH, N., SAGAWA, K., OKAMOTO, A., MITANI S., YOSHIDA, T.
掲載誌:Proceedings of the 17th World Congress on Ergonomics, 2009
タイトル:Span of fundamental colours of people with colour vision defects
著者:ITOH, N., SAGAWA, K.
掲載誌:Proceedings of CIE Centenary Conference, 216-217, 2013
 
 
経済産業省受託事業:
国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費(戦略的国際標準化加速事業:産業基盤分野に係る国際標準開発活動)「アクセシブルデザイン(AD)機器の利用促進のための国際標準化アクセシブル社会への実装を加速するための国際標準化」(2023-2025)
国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費(戦略的国際標準化加速事業:産業基盤分野に係る国際標準開発活動)「アクセシブル社会への実装を加速するための国際標準化」(2020-2022)
産業標準化推進事業委託費 (戦略的国際標準化加速事業: 産業基盤分野に係る国際標準開発活動)
「社会のユニバーサルデザイン化に向けたアクセシブルデザイン(AD)製品の国際標準化等」(2017-2019)
工業標準化推進事業委託費(戦略的国際標準化加速事業(国際標準共同研究開発・普及基盤構築事業))
「アクセシブルデザイン(AD)製品及びその認証に関する国際標準化・普及基盤構築」(2014-2016)