大阪大学産業科学研究所の筒井真楠准教授、小本祐貴助教、川合知二招へい教授、東京大学大学院工学系研究科の徐偉倫准教授、大宮司啓文教授、産業技術総合研究所の横田一道主任研究員らによる共同研究チームは、DNAの情報をその場で読み取るための新しいナノデバイスを開発しました。
このデバイスは、毛髪の直径よりもはるかに小さい「ナノポア」という微小な孔のそばに、金属製の極小ヒータ(ナノヒータ)を内蔵したものです。このヒータに電気を流すと、ナノポア周辺のごく狭い空間だけを高温にすることができ、その熱でDNAの二重らせん構造をほどいて一本鎖の状態に変えることができます。そしてこの1本のDNAがナノポアを通過する際のイオン電流変化を調べることで、DNAの塩基配列情報を高速に読み取ることが可能になります。
この方法のメリットは、試料全体を加熱する必要がなく、ほんの一部分だけを温める点にあります。これにより、DNAの損傷を抑え、低消費電力・低熱雑音を実現することで、より正確なDNAの1分子検出を可能にしました。
本研究成果は、米国化学会が発刊する 『ACS Nano』 (オンライン) にて、7月30日(水)9時(日本時間)に公開されます。
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