発表・掲載日:2023/12/18

三菱総合研究所と産総研グループ、デジタルツインに係る共同研究を開始

-自治体業務の効率化・高度化を推進する、「新たな社会インフラ」の構築へ-


株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)と産総研グループ(国立研究開発法人産業技術総合研究所(理事長:石村和彦、以下 産総研)および株式会社AIST Solutions(代表取締役社長:逢坂清治))は、12月18日から、国土・都市デジタルツイン構築・運用のためのエコシステム構築に係る共同研究を開始しました。

 

1. 背景

近年、自然災害や交通、環境等の都市を取り巻く環境の変化を受け、国土や都市課題の複雑化・広域化が進んでいます。これらに対応するためには、それぞれの主体が単独で取り組むのではなく、自治体の境界や官民を超えた協業を実現し、ともに課題の解決にあたることが重要です。

その解決手段の一つとして、現実空間を3次元の仮想空間上に再現する技術である「デジタルツイン技術」があります。例えば、デジタルツインを使うことで、現実空間では困難な分析やシミュレーションを高い精度で行うことが可能になります。しかし、個別の主体がデジタルツインを実用化する場合、大きな初期投資や長期的な検討が必要です。そのため、複数の主体がデジタルツインを試行できる環境の共用利用を進めるなど、協調領域を支える「新たな社会インフラ」の構想が望まれます。

そこで、MRIおよび産総研グループは、行政とも協力しながらデジタルツインのテストベッドの構築を実現するべく、共同研究を開始しました。

 

2. 共同研究の概要

(1)研究内容

まず、デジタルツイン実現に有効なデータの1つである「点群データ」に着目し、研究を開始します。点群データとは、3次元の位置情報と色情報を持った点の集合データのことで、これによって現実で測定した地形や物体等をコンピューター上で表現することができます。点群データを活用する国土管理や都市経営の基盤を構想し、自治体の各種業務のDXを進めることを目標の1つに据え、MRIおよび産総研グループは次の活動を行います。

概要図

出所:三菱総合研究所

MRIの活動内容

  • 都市課題を解決するための国土・都市デジタルツインのユースケース要件整理
  • 国土・都市デジタルツインによる自治体業務の効率化・高度化の仮説検討
  • 自治体による国土・都市デジタルツインの試行・評価の実施
  • 国土・都市デジタルツインを持続的に維持・拡大していくための技術・ビジネスでのエコシステム検討
  • 国土・都市デジタルツインを日本の国土保全・管理基盤とするための政府や自治体への打ち込み
  • 議論の場((仮称)点群データ活用研究会)の企画と運営

産総研グループの活動内容

  • 都市課題を解決するための国土・都市デジタルツインのシステム要件整理
  • 国土・都市デジタルツインの構築
  • 国土・都市デジタルツインを持続的に維持・拡大していくための技術・ビジネスでのエコシステム検討
  • 国土・都市デジタルツインを日本の国土保全・管理基盤とするための標準仕様検討
  • 議論の場((仮称)点群データ活用研究会)への参加と知見提示


(2)「点群データ活用研究会」の設置

MRIは、産総研および興味関心の高い自治体の参画を得て「点群データ活用研究会」(以下 研究会)を設置、主催します。研究会では、点群データの活用による自治体業務の効率化・高度化を目指し、自治体が抱える課題を解決するためのさまざまなユースケースを検証、具体化、発信することを目指しています。
研究会の会員:産総研、静岡県、兵庫県、長崎県 (2023年12月時点)

 

3. 今後の予定

研究会は、当面の間、現在の会員とともに点群データの活用ケースの検討を行い、成果の公表を目指します。その後、自治体や民間企業等の会員を増やしながら、点群データ等の空間情報を活用した新たなユースケースのアイデアを創出し、官民連携を前提とした開発・実装に取り組みます。




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