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発表・掲載日:2003/09/30

ヒ素濃度を簡易に目視検出

-濃度に応じて変色する新材料を開発-

ポイント

 産業技術総合研究所 メンブレン化学研究ラボでは、新材料の高分子樹脂を用い、簡易に水中のヒ素イオン濃度を検出する方法を開発した。本法を用いることにより、“簡易”に“安価な方法”で、検水中のヒ素イオン濃度を判定できるため、日常的に利用できる方法になるものと期待される。

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川弘之】 メンブレン化学研究ラボ【ラボ長 水上富士夫】は、水溶液中の微量ヒ素イオン濃度に応じて淡黄色から青緑色に変色する新材料と、これを利用するヒ素の簡易検出法を開発した。

 この検出法は、アミノアルコール型高分子樹脂のモリブデン錯体を利用するもので、モリブデンイオンが樹脂上でヒ素とヘテロポリ酸と呼ばれる複合酸化物を形成し鮮やかな青色を呈することに基づく。

 塩酸を加えて酸性とした試料溶液20mLにわずか数百mgの高分子樹脂を加えて、還元剤共存下で、20分間温浴(約40度)することにより、試料溶液中のヒ素イオン濃度に応じて樹脂が変色するため、この変色の程度から100ppb程度までのヒ素イオン濃度を簡易測定することができる。また、ヒ素イオン濃度がこれより低い場合には、試料溶液量を200mlとし、あらかじめ120分間程度振り混ぜることでヒ素を樹脂材料中に濃縮することにより、検出することができる。

 この方法の目視による検出感度は、少なくとも8ppb(1ppbは10億分の1)であり(写真)、これはヒ素の環境基準値(10ppb)を下回ることから、産業排水のほか、河川水や温泉水などに含まれるヒ素イオン濃度の“現場測定”に利用が見込まれる。既に、仙台郊外の秋保温泉源泉中のヒ素イオン濃度を簡易測定し、JIS公定法であるICP法(装置費として数千万円を要する)による測定値にほぼ一致する値が得られることを確認している。

 今回開発した新たなヒ素イオン簡易検出法は、熟練した操作を必要とせず、高分子樹脂とごく一般的な試薬を組み合わせて利用する安価な方法であり、検水中のヒ素イオン濃度の一次判定法として日常的に利用できる方法になるものと期待される。

 今後、同材料を膜状に加工することにより、検出法のさらなる簡素化を検討し、他の関連の成果とともに、簡易計測法に関する新規ビジネスの開拓を目指している。

ヒ素濃度に対応して変色したアミノアルコール型高分子樹脂の写真

ヒ素濃度に対応して変色したアミノアルコール型高分子樹脂
 
高分子樹脂の拡大写真
高分子樹脂の拡大図




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