発表・掲載日:2001/11/19

産総研-光触媒技術を応用した歯の漂白材を開発-

-三菱ガス化学(株)が臨床試験を実施-


概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所 セラミックス研究部門【部門長 亀山 哲也】 メソポーラスセラミックス研究グループ【グループ長 野浪 亨(のなみとおる)】は二酸化チタン光触媒を応用した世界初の歯の漂白材の開発に成功し、三菱ガス化学(株)(本社:東京都千代田区、社長:小高 英紀)が臨床試験を実施することとなりました。この度、三菱ガス化学(株)は産総研と特許の実施契約を締結しました。

 二酸化チタン光触媒と低濃度(3.5%)の過酸化水素を主成分とする漂白材を歯の表面に塗布し、400nmの紫色の光を数分照射することにより、加齢や外因性による変色歯、及び軽度のテトラサイクリン症変色歯を効果的に漂白することができます。通常二酸化チタンは380nm以下の紫外光にしか反応しませんが、産総研では400nm付近の可視光に反応する漂白材を開発することに成功しました。

 従来オフィスブリーチングに用いられている高濃度(35%)の過酸化水素を主成分とする漂白材に比べ、厳重な歯肉保護が不要、エナメル質へのダメージや知覚過敏の発生が小さいことが期待される等、安全性に優れるため、患者や術者への負担が大幅に軽減されます

漂白処理前後の歯面の写真



内容

漂白の手順の図

 産業技術総合研究所は二酸化チタン光触媒を応用した世界初の歯の漂白材の開発に成功し、共同研究を行った三菱ガス化学(株)(本社:東京都千代田区、社長:小高 英紀)が産総研と特許の実施契約を締結し、この度臨床試験を実施することとなった。

 歯の漂白材(コード名;MGC-01)は、産総研 セラミックス研究部門 野浪 亨グループ長と三菱ガス化学(株)らの研究の結果開発された安全性と漂白効果に優れたオフィスブリーチング(歯科診療室での漂白)向けの歯の漂白材である。二酸化チタンは化粧品や歯磨き粉などに用いられている安全無害な材料であるが、特定の波長の光照射により活性酸素が発生し、様々な有機化学物質を分解する光触媒効果を示すことが知られている。

 この二酸化チタン光触媒と低濃度(3.5%;市販や研究されている漂白材でもっとも低濃度)の過酸化水素を主成分とするMGC-01を歯の表面に塗布し、400nmの紫色の光を数分照射することにより、加齢や外因性による変色歯、及び軽度のテトラサイクリン症変色歯を効果的に漂白することができる。

 通常二酸化チタンは380nm以下の紫外光にしか反応しないが、産総研では400nm付近の可視光に反応する漂白材を開発することに成功した。さらに、専用の照射器の開発にも成功している。

 従来オフィスブリーチングに用いられている高濃度(35%)の過酸化水素を主成分とする漂白材に比べ、厳重な歯肉保護が不要、エナメル質へのダメージや知覚過敏の発生が小さいことが期待される等、安全性に優れるため、患者や術者への負担が大幅に軽減されることが期待される。また、抜歯やモデルによる漂白実験では従来品より優れた漂白効果を確認している。

 動物を用いた安全性試験の結果特に問題がないことを確認したため、今後臨床試験にて有効性と安全性を検討する段階に移行することになった。既に三菱ガス化学(株)は四日市工場にGMP対応量産設備を設置しており、厚生労働省の製造承認(医療用具)取得後販売を開始する予定だ。また産総研が所有している関連特許について三菱ガス化学(株)は実施権の取得契約を行っている。

 歯の漂白先進国である米国では、歯科医の90%が診療メニューに漂白を取り入れているといわれているが、国内においても白く美しい歯に対する関心は近年非常に高まっており、安全性の高い本漂白材により需要が広がるものと期待している。

 産総研の野浪 亨グループ長は「光触媒を用いることで従来の漂白材に比べ過酸化水素濃度を安全な範囲まで減らすことができ、安全で短時間での歯の漂白が可能になった。医療分野への光触媒の応用が期待されており、今後研究を積極的に進めていきたい。」と話す。





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